大槻慎二(おおつき・しんじ) 編集者、田畑書店社主
1961年、長野県生まれ。名古屋大学文学部仏文科卒。福武書店(現ベネッセコーポレーション)で文芸雑誌「海燕」や文芸書の編集に携わった後、朝日新聞社に入社。出版局(のち朝日新聞出版)にて、「一冊の本」、「小説トリッパー」、朝日文庫の編集長を務める。2011年に退社し、現在、田畑書店社主。大阪芸術大学、奈良大学で、出版・編集と創作の講座を持つ。フリーで書籍の企画・編集も手がける。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
部屋に置かれた代表著の時事評論集
「公」と書き付けてもうひとつ酷い目にあったことを思い出した。
“ふつうの感覚”からの疑問(上) 吉水神社――世界遺産の宮司が口にする「本音」ブログ(WEBRONZA)
それは仕事先が大阪・心斎橋で取ってくれたあるホテルでのことである。ひとしきり飲んで帰った深夜、チェックインして部屋に入った瞬間、なぜか背筋がざわめいた。
しばらくして、その居心地の悪さの原因が判明した。ふつうならば聖書が置いてあるような場所に、ホテルチェーンの代表らしき人物の著書が置いてある。
それは時事評論集で、極めて「右」に偏った論旨が展開されている。おまけに口絵には著者が若い頃スポーツカーの前で撮った写真とともに、航空自衛隊の戦闘機の操縦席に嬉しそうに収まっている写真が並んでいる。
その芬々(ふんぷん)たる自己顕示に辟易したことはともかく、なぜこんなものを、どんな思想信条を持った人が泊まるか分からない部屋に置くのか。その神経を疑った。
日付は替わり時刻はもう1時を回っていたが、そんな部屋で
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