雑誌ジャーナリズムは『週刊文春』以外全部沈没?
『文春』をヒントに、ネットで新しい未来を開拓するしかない
松谷創一郎 ライター、リサーチャー
『週刊文春』が飛び抜けている理由
年明けから『週刊文春』(文藝春秋)の勢いが止まらない。

週刊文春デジタルのトップ画面
ベッキーの不倫騒動、甘利大臣の金銭授受、宮崎謙介議員の不倫騒動、そして神戸連続児童殺傷事件の元少年Aへの直撃と、毎週のようにスクープを飛ばしている。
SMAP騒動や清原和博容疑者の薬物疑惑も、きっかけは昨年(2015年)までの『週刊文春』の記事だった。
80年代の「ロス疑惑」をはじめ、『週刊文春』がスクープに強いことはいまに始まったことではないが、ここ数年はあまりにも集中している印象がある。
そこで生じる疑問は、なぜ同誌がここまで飛び抜けているのか、ということだ。
その理由は定かではないが、おそらく雑誌界の有能な人材が『週刊文春』に集まっているのだろう。
週刊誌の制作プロセスは編集部によってさまざまだが、リサーチャーやデータマンが集めてきた取材情報をアンカーマンと呼ばれる記者がまとめるケースが多い。おそらくいまの『週刊文春』には、有能なリサーチャーとデータマンがかなり集まっているのだろう。
『週刊文春』に集中する理由も、不可思議なことではない。他の雑誌がどんどん調査報道から手を引いているからだ。
他の雑誌が調査報道から手を引いていったのには、ふたつの要因がある。
ひとつは、雑誌の斜陽とそれにともなうコストの問題。もうひとつは、
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