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週刊文春、往年の腕に衰えなし!

きっちり油を注いでから導火線に火をつけて読者の前に放り出す

青木るえか エッセイスト

それは「毒入りオレンジ」「疑惑の銃弾」からだった

 私が「週刊誌」にハマったのは、ボクシングの金平会長が試合前に相手陣営に毒入りオレンジジュースを飲ませたというスクープ記事の広告が新聞にドカーンと出た時で、その時から週刊文春を定期購読しはじめた。

 毒入りオレンジ事件がおさまっても、惰性というんではなく続けて毎週買わせ続けるような地力が感じられた。

「ロス疑惑」の主人公に殺到する報道陣。週刊誌の記事がきっかけで、1984年からワイドショーは「ロス疑惑」一色に。過熱する取材に人権問題も浮上した=1985年拡大「疑惑の銃弾」の主人公に殺到する報道陣。社会現象化したこの事件も週刊文春の記事がきっかけだった=1985年
 そうして毎週買ってるうちに、またドカーン!とスクープ連載が始まったのだ、「疑惑の銃弾」が!

 週刊誌発の事件で近年あれほど盛り上がったのはなかった。

 三島由紀夫の割腹、よど号ハイジャック、あさま山荘事件を「きっちり物心ついて手に汗握れる年頃」に見られなかったのが痛恨事であるが、疑惑の銃弾とオウム真理教をリアルタイムに見たから良しとする。

 この時に、私は「乗りに乗り、飛ばしに飛ばす週刊誌」というものを週刊文春により知った。

 そういうわりにはスクープ記事は毒入りオレンジと疑惑の銃弾しかおぼえてないんだが、飛ばしてる時の週刊誌って、連載記事も読ませるのが揃うんですね、不思議なことに。

 「糸井重里の萬流コピー塾」、「OL委員会」、米長邦雄の「泥沼流人生相談」。どれも私は好きじゃなかったが勢いはあった。

 あと書いてた人の名前が思い出せないんだけど、毎週1冊架空の本の書評をするやつとか。『ベルサイユのばら』と『エースをねらえ!』が同時期に連載されてた『週刊マーガレット』の勢いをほうふつとさせる。

ほかの週刊誌のあの誌面はなぜだ?

 この時の週刊文春に迫る勢いがあったのは同時期の週刊朝日で、文春vs朝日の様相を呈しており、誌面でガンガン名指しでやりあったりしてて面白かったが、朝日ならではの「あんまり下品なことはやれない。なんせわたしら朝日ですから」というスピリットのせいで文春を追い抜くまではいかなかった。それでも充分面白かったからいいんだけど。

 週刊新潮は常に、他誌が何か書いたことに陰険にインネンつけるか水をかけるか悪口書くか(名前が上がってモテはやされるようになった人をなんとかオトそう、という情熱だけで生きているような雑誌だ)、とにかく人のフンドシでしか相撲をとらない。

 たまに自分のフンドシで相撲をとると「ニセ赤報隊実名手記」みたいなことになるので、他人フンドシ路線を堅持するほうがいいと他人事ながら思います。

 ……などというのも10年前ぐらいの話であって、最近の週刊誌の、濡れたダンボールのような、どんよりしてページをめくる気がおこらない状況はどうだ。

 週刊誌が面白くなくなったのは

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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

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