白井聡『永続敗戦論』に続く、戦争の「終わり方」
2016年03月07日
白井聡の『永続敗戦論』(太田出版、2013年)は、刊行3年後の現在、19刷、累計7万7000部で、今なお売れ続けている。人文社会書としては、ベストセラー、ロングセラーであると言える。
“福島第一原発の事故以降引き続いて生じてきた事態、次々と明るみに出てきたさまざまな事柄が示している全体は、この日本列島に住むほとんどの人々に対する「侮辱」と呼ぶほかないようなものだ。あの事故をきっかけとして、日本という国の社会は、その「本当の」構造を露呈させたと言ってよい”
多くの人が漠然と感じてきた「戦後」の欺瞞を、白井は説得力のある、力強い筆致で解き明かし、多くの読者の共感を得たのに違いない。
「戦後」の欺瞞とは、「敗戦」を「終戦」と呼び換えるという欺瞞に始まる。
それは、朝鮮半島から満州、中国への侵略戦争における敗北を、単にアメリカにだけ負けたことにした欺瞞である。
実際には敗戦時の革命の防止を意味した「国体」維持を、日本民族の存続と言い換えた欺瞞である。
その「国体」維持も、アメリカの対アジア、対共産主義戦略の、極めて政治的な判断の結果であったことを、アメリカの「天皇への敬愛」によるとした欺瞞である。
“敗戦を否認しているがゆえに、際限のない対米従属を続けなければならず、深い対米従属を続けている限り、敗戦を否認し続けることができる。かかる状況を私は、「永続敗戦」と呼ぶ”
欺瞞は今日なお生き続けて
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