“社会派”の個性は都合が良かった
2016年03月15日
目を引きやすいスター監督によるフィクション作品がカンヌに流れがちな現在、その穴埋めにもなっていそうなのがドキュメンタリー作品ではないか。
ベルリン映画祭リポート(上) “社会派”――シナリオ通り? 出来過ぎなほど成功したアピール
ベルリン映画祭リポート(中) カンヌの脅威――コンペティションが地味めな傾向に
実際、近年ベルリンにおいては、ドキュメンタリーの存在感が相対的に増している。
今年のコンペティション部門には金熊賞の『火の海』の他に、サイバー攻撃の実態に迫るアレックス・ギブニーの『ゼロ・デイズ』があった。
思えば去年(2015年)もチリの名匠パトリシオ・グスマンの『真珠のボタン』が銀熊賞脚本賞を受賞していた。
ジャファル・パナヒ監督の『タクシー』だって、ドキュフィクションと呼んでよい作品だった。ベルリンがかなりドキュメンタリー作品を映画祭の主役に据え始めたと考えて良さそうだ。
このような傾向が生まれたのは、もはやドキュメンタリー作品でもコンペなどの重要部門に積極的に受け入れていかないと、映画祭の質が保証されないからではと邪推をしたくなる。
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