勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
待機児童増加の陰にイクメンの姿あり
ネット上で話題になっている匿名ブログ「保育園落ちた日本死ね!!!」について、前回の記事『「保育園落ちた日本死ね」現象と政治家の甘い認識――一人あたり子育て費用3億円の少子化促進国』では、主に保育園に落選することの過酷な現状や、女性が生涯所得を大幅に失うことによる影響について書きました。
「保育園落ちた日本死ね」現象と政治家の甘い認識――一人あたり子育て費用3億円の少子化促進国
今回は「男性」という切り口で、待機児童問題を見て行こうと思います。
匿名ブログ「保育園落ちた日本死ね」が取り上げられた2月29日の衆院予算委員会で野次を飛ばした自民党の平沢勝栄衆議院議員が3月10日にテレビ出演し、野次について謝罪しました。
ところが、平沢議員はその際に「これ、本当に女性が書いた文章なんですかね」と発言。この発言はインターネット上で多くの人から批判を受けて、野次で安倍政権の待機児童問題に対する態度のイメージを下げたところに、さらに火に油を注ぐ形になってしまいました。
同番組でコメンテーターとして出演していた高木美保氏が「それ関係ないでしょう! 本音になったらこうなりますよ! 女性とか男性は関係ないです」と反論しましたが、彼女が言うように、ブログを書いた人が男性か女性かは一切関係ありません。
書き主が性別をあらわにしていなくてもたくさんの国民の共感を呼んで拡散されたわけですから、この声は書き主の声にとどまらず、書き主を含んだ国民の声でもあるわけです。子供を保育園に入れることができなかった両親や親族、将来親になろうと考えている人、社会に生きる全ての人にとって関係する問題です。
仮に、ブログが「保育園落ちた日本死ね」ではなく「イジメツライ日本死ね」でしたら、おそらく匿名かどうか、女性かどうかは問題にならないでしょう。それだけイジメが辛いというのは、多くの人が共通認識として持っているからです。
ですが、保育園落選というテーマになると、匿名か否か、女性か否かという的の外れた悠長な話になってしまうのは、それがどれだけ辛く人生を左右する一大事かということを、平沢議員を含む与党の議員が全く分かっていないからだと思います。
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