2016年03月22日
ミカさん(44歳)が「不育症」という言葉を初めて聞いたのは、四十も手前だった頃ではないかという。
「保健の授業でも聞いたことなかったし、大変な思いをしたとはいえ、奇跡的に長女が生まれたので、逆に気がつかなかった。妊娠はするので、“不妊”という意識もありませんでした。
不妊治療をしていた女友達から、『妊娠するだけいいじゃない』と言われて、帰り道に涙が止まらなくなったこともあります。それほど、不育症について知られていないのが現実です」
と言って、目を伏せた。
ミカさんが過去に経験した「流産」は計4回にわたる。
妊娠検査薬で陽性が出て、産婦人科で正式に「妊娠」を伝えられるも、大喜びできたのは、最初の妊娠の時だけだった。
初めての妊娠は、30歳の時だ。医師から「妊娠しているけれども、心拍が確認できなかったから、2週間後にもう一度来てください」と告げられた。
知識が少なかったこともあり、その時のミカさんには、重大なこととして受け止められなかった。
夫に「事の次第」を伝え、翌日は、低いヒールに履き替えて仕事に行った。
午後、下腹部に違和感を感じた。
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