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『いつ恋』から考える「切実系」ドラマの役割

1クールに1本はあっていい

西森路代 フリーライター

 2016年1月からのクールのドラマの傾向を自分なりにくくるとしたら、切実で暗いものが多かったという印象である。

 もちろん、コメディや推理ものもあったが、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)や『わたしを離さないで』(TBS系)、『ナオミとカナコ』(フジテレビ系)のような作品に個人的には注目して視聴していた。

いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう拡大『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)
 このように暗く切実なドラマが2015年にも放送されていたのか振り返ってみると、秋(10~12月)クールの『コウノドリ』、(TBS系)、夏(7~9月)クールの『37.5℃の涙』(TBS系)などが「切実系」ではないかと思われる。

「切実系」ドラマとは?

 ここで、私が勝手に「切実系」だと思っているドラマについて説明しておきたい。

 私の考える「切実系」ドラマは、ラブストーリー、サスペンス、ヒューマンドラマなどジャンルは問わない。しかし、個人的な出来事の根底に、何か社会的な構造がかかわっていて、その構造を明らかにしようと描いているものを、「切実系」だと思っている。

 例えば、ラブストーリーでも、単にアラフォーの未婚女性の生態を描き、その結婚できなかった理由が「私」が恋愛下手だったという自己責任として描いたものは、「切実系」には見えない。

 また、ヒューマンドラマに貧困家庭が出てきても、その貧困は、努力でなんとかなる!という描かれ方であったり、貧困はかわいそうだ、ととにかく泣ける物語になっているものも、「切実系」とは思えない。

 登場人物の置かれた状況が、単なる自己責任ではない、だからこそやるせない、どうしたらいいのか、それを物語の力で訴えたい、というものが「切実系」なのである。

若者の過酷な労働環境

 そんなことを言うと、脚本家の中には、「そんなつもりはない、たまたま物語を描いたら、切実な社会問題が浮き彫りになったのだ」という人もいるだろう。でも、それはどっちが先でもいいのだ。

 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』で説明すると、

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筆者

西森路代

西森路代(にしもり・みちよ) フリーライター

フリーライター。1972年生まれ。愛媛と東京でのOL生活を経て、アジア系のムックの編集やラジオ「アジアン!プラス」(文化放送)のデイレクター業などに携わる。現在は、日本をはじめ香港、台湾、韓国のエンターテイメント全般について執筆中。著書に『K-POPがアジアを制覇する』(原書房)がある。

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