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乙武洋匡氏の不倫に見る日本型結婚の闇(下)

不倫という名の児童虐待

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 前回および前々回につづき、今回も話題になった乙武洋匡氏の不倫騒動から、子のいる日本人男性の不倫という問題について、論じて行きたいと思います。

 乙武氏の不倫に限らず、男性国会議員として初めて育休を取得した宮崎謙介元衆議院議員など、週刊誌のすっぱ抜きによって不倫が社会的に批判を浴びるケースがここ最近続いています。

翻訳した絵本をスクリーンに映しだし、子どもたちに読み聞かせをした=201410日、東京都文京区の青柳小学校拡大翻訳した絵本をスクリーンに映しだし、子どもたちに読み聞かせをする乙武洋匡氏=2014年、東京都文京区の青柳小学校で
 それに対して、「近年、日本は不倫に厳しい社会になった」と嘆く意見がちらほら見られるようになりました。

 彼らは「正義を振りかざすことが良しとされる社会の雰囲気になっているのではないか?」「昔は『しょせん不倫なんて』で済んだものなのに、最近は社会に寛容さが足りないのではないか?」と考えているようです。

 確かに川谷絵音氏が仕事を続けているのにベッキー氏はCM打ち切りをさせられるなどの問題はアンフェアであり、由々しき事態と言えるかと思います。

 また、己の発散欲求のためにバッシングを行っている人は少なからずいるでしょう。ですが、それ以外に関しては、そこまで問題だと私は思えません。

 それ以上に、「NOと言えない日本人」と言われてきた状態から、人権侵害や女性差別などに対してNOと言える人が増えていることや、インターネットなどを通じて社会問題について一般市民が自分の意見を言えるようになったことは、むしろ素晴らしいことだと思うのです。

 確かに差別的表現・セクハラ表現・人権侵害的な表現を、昔から無意識にしてきた加害性の強い人たちにとっては、発言を制限されているように感じるかもしれません。

 ですが、そういうことをもとから言わない人にとっては何ら制限されているとは感じないと思うのです。そこに両者の認識に大きな差が生まれる理由があります。

 私自身も近年の潔癖症的なバッシングによって空気が重いと感じたことはほとんどなく、今でも自由に自分の意見を発言できていると思っています。それは、まだまだではあるものの、他者に配慮するというグランドルールや、年功序列で若き者には発言を許さないという風習が消えて行っていることの表れだと思うのです。

 彼らの不満はおそらく帯刀と無礼討ちが認められていた武士が、廃刀令によって不平不満を募らせた明治初期の状態に近いと思っています。

 日本の文明開化はまだ終わっていません。時計の針を逆に戻すようなことをせず、これからも社会問題の原因たる背景や人権侵害に対しては、NOと言える社会に進んで行きたいものです。

 また、そもそも不倫問題が近年批判されているのは、不倫という行為自体に対して風当たりが厳しくなったという事実以上に、

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筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

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