青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト
1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
私と同じような優越感見せたい欲を出したのか…
乙武洋匡さんは地位を失墜したのだろうか。
『五体不満足』という本は、あれが処女作だとすると(そして本当に自分で書いていたとすると)するする読めるし面白い本であったが、書かれていたエピソードの解釈について、自分の解釈が正しいのか否かで迷っている部分がある。
有名な場面で、乙武さんがあのような様子で生まれてきたので、お母さんにはショックを与えないようにしばらく会わせない。1カ月ぐらいたってやっと母子対面となるのだが回りはほんとに心配している。息子の姿を見てどれほど衝撃を受けるだろうかと。
そんな中、お母さんは乙武くんを見て一言、「かわいい」。
ここですが。
割と有名な、感動の場面てことになっている。ここを皆さんはどのような感動として解釈しましたか。私は「乙武くんのお母さんは、手足のない子供“だから”かわいいとつぶやいた」と思った。
ちがうんでしょうか?
何か、「お母さんは、手足がないことなどものともせずかわいいと言った」ことへの感動、みたいな声を聞いたんだけど、えー? そうなんですか?
『五体不満足』では、乙武さんのみならず、ご両親も素晴らしい人と描かれていて、それを最初に印象的に表してるのが「かわいい」の場面だと思っていた。
で、「手足がないー、なんか見たことないぐらいすっごいかわいいー!」っていうようなタイプのお母さんであり、その息子もそういうタイプで、だから『五体不満足』なんて言えちゃうんだろうと思ってた。現状で楽しめるだけ楽しもうとするタイプなんだろうと。
最初っからそういう解釈をしてたもんで、乙武さんのツイッターでの発言なども、吉田豪による乙武インタビューも、ぜんぜん驚くべきものではない。女好きで、ウケるためなら障害者ギャグもガンガン繰り出す。ホーキング青山とかと同じくくりの人かと思っていた。
しかし早稲田に入っちゃったりしているし、真面目なことも語れるし、少数の、乙武さんを聖人君子と勘違いした客がついていて、その客は地位の高い人が多かったりするから、そっちへの目配りも一応やってますという、そういう人なんだとばかり。
まあ、真面目方面から持ち上げられているのはわかっていたけど、何かしでかしたとしてもホーキング青山路線の人だし、「いや僕はそういう人ですから」で済ます(&済む)んだと思っていた。
いや自民党から立候補予定だろう、そういうコンサバな人なんだよ、って意見も出てくるが、いやー、