メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

必見! トッド・ヘインズ『キャロル』(中)

ロード・ムービー形式、古典性と現代性の共存、超絶な画面造形など

藤崎康 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

 中盤で、2人がアメリカ西部を巡る自動車旅行に出発する『キャロル』は、よってそれ以降、恋愛映画+ロード・ムービーという形をとる(キャロルの運転するロールスロイスのゆるやかな速度が、ロード・ムービー感を高める)。

ケイト・ブランシェット拡大ケイト・ブランシェット
 もちろんこの旅は、キャロルとテレーズにとって、思うに任せない現実からの逃避行であり、禁断の恋の道行きでもある。

 ハイスミスの原作どおりの展開ではあれ、ヘインズ監督と脚本家のナジーは、原作を大きく刈り込み、優れた映画ならではの簡潔な語りで、ドラマを佳境に導いてゆく(ハイスミスの原作<柿沼瑛子・訳、河出書房新社、2015>でキャロルが登場するのは50頁<第1部第3章>であるが、彼女を映画の冒頭で登場させたヘインズおよびナジーの脚色は卓抜)。

ラブシーンの美しさ

 2人は、オハイオのモーテルでついに結ばれるが、そのラブシーンは

・・・ログインして読む
(残り:約2981文字/本文:約3353文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

藤崎康

藤崎康(ふじさき・こう) 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

東京都生まれ。映画評論家、文芸評論家。1983年、慶応義塾大学フランス文学科大学院博士課程修了。著書に『戦争の映画史――恐怖と快楽のフィルム学』(朝日選書)など。現在『クロード・シャブロル論』(仮題)を準備中。熱狂的なスロージョガ―、かつ草テニスプレーヤー。わが人生のべスト3(順不同)は邦画が、山中貞雄『丹下左膳余話 百万両の壺』、江崎実生『逢いたくて逢いたくて』、黒沢清『叫』、洋画がジョン・フォード『長い灰色の線』、クロード・シャブロル『野獣死すべし』、シルベスター・スタローン『ランボー 最後の戦場』(いずれも順不同)

藤崎康の記事

もっと見る