50年代アメリカのダークサイドなど
2016年04月19日
今回は、『キャロル』の舞台となった、1950年代アメリカの――とりわけその郊外の――ライフスタイル、政治的背景について、(ディヴィッド・ハルバースタム『ザ・フィフティーズ――1950年代アメリカの光と影』1~3巻<筑摩書房、2015、峯村利哉・訳>、および同書の1巻、3巻の越智道雄・町山智浩による解説対談を参照しつつ、ざっとおさらいしておこう。
50年代のアメリカは、戦後の混乱から脱して未曾有(みぞう)の経済的発展を遂げ、「中産階級が拡大し、核家族が郊外の庭付き一戸建てを買い、自動車、テレビ、家電製品をそろえるという」(町山)、アメリカン・ドリームが実現されたかのような繁栄の絶頂期を迎えた。
よって当時の、生活水準が急上昇したアメリカは、ヨーロッパやアジアの諸国にとっては「夢のような」ユートピアに映ったのである。
しかしながら、それは50年代の表層部分であり、その裏面では、
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