メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

[11]「不育症」――辛い経験を活かして

横田由美子 ジャーナリスト

 「不育症」という病気の壁は、社会的認知が低いことに加え、「診断の難しさ」にもあるだろう。

 不育症とは、厚生労働省不育症研究班の提言によると、

 「2回以上の流産、死産、または早期新生児死亡(生後1週間以内の赤ちゃんの死亡)がある場合」

 と、定義されている。

 また、一人目がいる場合でも、二人目、三人目が続けて流産や死産になった際は、「続発性不育症」として検査をし、治療することになっている。

 通常なら2回流産すれば「不育症の検査」を勧められるはずなのだが、クリニックや医師によって診察のタイミングが異なるのが現状だ。

医師からの衝撃的な言葉

 「不育症そだってねっと」を主宰する工藤智子さんが最初に流産したのは25歳の時だ。5週目で診察に行くと、「袋(胎のう)は見えているんだけど、赤ちゃんが見えないからもう1回来てください」と言われ、3週間後に「流産しています」と宣告された。

 「不育症そだってねっと」「不育症そだってねっと」のサイトより
 2年後にまた妊娠。だが、工藤さんは、最初の時のようには喜べなかった。

 「次に診察に行ったら、赤ちゃんの心臓が止まっているんじゃないだろうか」「残念ですが、流産ですよ」

 そう、言われてしまうのではないかと夢にまで見、日々憂鬱で仕方なかったという。

 悪い予感は的中し、10週目で流産してしまう。当初、工藤さんは、その現実を受け入れることができなかった。

 「最初の病院には嫌な記憶があったので、地元では老舗というか、少し古い産婦人科に行っていました。機材が古かったので、『誤診』ではないかと思いたくて、大きめの産婦人科にも足を運びました。でも、当たり前なんですが、『流産している』と診断された。
 忘れられないことがあります。私が掻爬(そうは)手術を

・・・ログインして読む
(残り:約2156文字/本文:約2955文字)