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HKT48の歌詞問題で、ファンとしてつらいこと

歌詞がどうとかいう以前に、この曲が……

青木るえか エッセイスト

このCDを買うのもたいへんだぞ

 誰も別にこんなことに興味ないだろう。どこかに何かの火ダネでもあれば探しだして覗きたいっていうモノ好きな人にしか需要はないよ。HKT48の歌詞が女性蔑視で炎上なんて。

 そもそも問題になった歌をフルコーラスで聞いたことある人がいるのか。CD買って。いや、歌詞の取り上げ方が恣意的でフルで聞いたら意味が違うんだ、とかいう話ではない。単純に、聞きましたか?っていう、素朴な質問。

代々木第一体育館で行われたライブツアー。指原莉乃さんらがワイヤーでフライングする演出もある(AKS提供)20160223拡大HKT48のライブ=2016年2月23日、代々木第一体育館、AKS提供
 問題の曲『アインシュタインよりディアナ・アグロン』が入ってるCDを買ってくるのもたいへんだぞ。

 まずあれはHKT48の7枚目のシングル『74億分の1の君へ』のB面である。今B面とは言わないか。でもまあ、B面曲だ。

 そしてこの『74億分の1の君へ』は4種類出てて、それぞれB面が別の曲になっている。

 『アインシュタイン~』は「通常盤Type-C」に入ってる。通常盤はTypeがABCとあって、もうひとつは劇場盤。

 なんのこっちゃとお思いでしょう。

 この劇場盤と通常盤では、CDについてくる握手券の種類が違うんですよ。通常盤は「全国握手券」で劇場盤は「個別握手券」。全国握手券てのは、1ブースに大物は一人(HKT48でいえば指原莉乃)、でもだいたいは3~4人のメンバーがいて、当日好きなブースに行く。

 握手券何枚も持って、同じブースだけ何回も行くとか、いろんなブースを訪問するとか、する。これが通常盤についてくる全国握手券。

 対して、個別握手券ってのは、最初から「誰と握手するか決まってる握手券」で、こっちのほうが「推しメンとじっくり握手したい人」向けだ。

 で、この個別握手券のついてる「劇場盤」というのはレコード屋では買えなくて、ネット注文である。目当てのメンバーの名前を指名して注文する。しかし相手も生身の人間であり12時間ぶっ通しで握手してくれるにしてもさばく数には限りがあるから、抽選販売になるわけだ。

 ま、それで完売する人と売れ残る人とが出てくるという「残酷な成績発表」がある。人気メンバーは握手する時間をめいっぱいとって、不人気メンバーは半分ぐらいにするとか、そのへんで調節する。

 それでも「過疎る」という事態が起きるわけです。つまり「横でずらっと握手を待つ列ができてるのに自分のとこは人がいなくてスマホを見て時間つぶし」みたいな。アイドルもつらいね。

 そういうわけで、劇場盤は「ふらっと見つけて買う」ということは不可能なので、レコード屋でふらっと買える通常盤Type-Cの『アインシュタイン~』は、いくらか世間の耳目に触れやすいわけですが、こんな話題にでもならなかったら誰も知らないよ、こんな曲。

 ここまで説明したの見てもらえばわかると思いますけれど、これ、自分が昭和の時代に小遣いためて買ったシングル盤、とはもう意味合いが違っちゃっている。

ぜーんぜん、問題に気づかなかった……

 ここに書いたことは、何かを調べて書いたわけじゃなくて、私がHKT48のファンだから身を以て知ってんですよ。ものすごいファンなんです! コンサートも行くし劇場公演も行きますし、劇場公演は去年(2015年)だけで30回以上行って、ペンライト振って、曲の合間に「ちょーぜつかわいい●●ちゃーん!」とか叫んでるんですよ。でも推しメンの名前入りウチワは振らないのでファンとしてはたいしたことはない。

 なのでもちろん今回の『74億人の1の君へ』は4種類買った。買いましたとも。

 しかし、

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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

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