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『笑点』は、「テレビ的笑い」の先駆けだった

50年前からあった「キャラ」どうしの絡み、「ひな壇トーク」

太田省一 社会学者

マンネリ批判は的外れ

 時ならぬ『笑点』(日本テレビ系)フィーバーが巻き起こっている。

 このところ視聴率は軒並み20%台に達し、高い時には30%近くまでいくこともある。2016年5月29日の放送は、現放送時間になった1996年以来、最高の28.1%を記録した(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。

大喜利メンバーらと記念写真に臨む桂歌丸さん(前列左から2人目)。右隣は6代目の司会に決まった春風亭昇太さん=22日午後、東京都千代田区の日本テレビ拡大大喜利メンバーたちと5代目の司会者・桂歌丸さん(前列左から2人目)。右隣は新司会者の春風亭昇太さん=東京都千代田区の日本テレビ
 もちろん理由はある。

 1966年に始まった番組は、今年50周年を迎えた。そこに番組開始時からのレギュラーでもあり、長らく司会を務めてきた「番組の顔」桂歌丸勇退の発表が重なった。それを惜しむ声、さらに次期司会は誰かという興味も重なり、世間の関心が一気に高まった印象だ。

 その後も春風亭昇太の新司会就任に伴う新メンバー・林家三平の加入、林家たい平の「24時間TV」マラソンランナー決定、はては三遊亭円楽の不倫騒動まであって、話題は尽きないといったところだ。

 こうした特需的な部分もあるにせよ、元々『笑点』の人気はずっと安定している。ただ最近のバラエティ番組のテイストとは一見かけ離れているため、高齢者向けの新味に欠ける番組というイメージも根強い。

 だが私は、そうしたマンネリ批判は的外れであり、『笑点』に対する過小評価であると思う。

「お笑い番組」の原点 

 確かに、若手芸人たちが見せる先鋭的なスピード感あふれる笑いからみれば、いまひとつ刺激に欠けるかもしれない。しかしながら、『笑点』という番組をつぶさに見てみると、そこには ・・・ログインして読む
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筆者

太田省一

太田省一(おおた・しょういち) 社会学者

1960年、富山県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビ、アイドル、歌謡曲、お笑いなどメディア、ポピュラー文化の諸分野をテーマにしながら、戦後日本社会とメディアの関係に新たな光を当てるべく執筆活動を行っている。著書に『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論――南沙織から初音ミク、AKB48まで』(いずれも筑摩書房)、『社会は笑う・増補版――ボケとツッコミの人間関係』、『中居正広という生き方』(いずれも青弓社)。最新刊は『SMAPと平成ニッポン――不安の時代のエンターテインメント 』(光文社新書)、『ジャニーズの正体――エンターテインメントの戦後史』(双葉社)。

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