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『ポケモンGO』の現在・過去・未来(上)

突きつけられた「公共性」の再定義

松谷創一郎 ライター、リサーチャー

日本発表前から注目

 『ポケモンGO』が日本で発表されて、約3週間が経過した。

 いま振り返れば、そもそもあのような事前の盛り上がりが珍しいものだった。海外のコンテンツが日本で大ヒットすること自体は、珍しくない。数年前のアニメ『アナと雪の女王』は、映画興行収入で日本歴代3位の大ヒットだった。ただ、そのときも海外でヒットしたというニュースが日本で広がったわけではない。

西本願寺の阿弥陀堂門に掲げられたポケモンGOの使用禁止を伝える看板京都の西本願寺では阿弥陀堂門に「ポケモンGO」の使用禁止を伝える看板が掲げられた
 もちろんこの騒ぎは、『ポケモンGO』がアメリカ・ナイアンティック社のゲームでありながらも、半分は日本のゲームだったことに起因する。

 とは言え、海外先行のコンテンツが日本でここまで渇望される状況は、なかなかなかった。

 現在、ハリウッド映画は日本とのタイムラグがかなりなくなっており、海外のミュージシャンの来日を多くのひとが待ち望むようなことも起こらない。日本発表前の注目そのものが、そもそもかなり珍しい状況だった。

 それもあって、7月22日に日本で発表されると、当然のごとく日本でも大ヒットした。ふだんはゲームをやらない層も夢中だ。もちろん物珍しさでダウンロードしただけのひとも少なくないだろうし、いまの勢いがこれからずっと続くわけでもない。しかし、これまでにはない分母の大きさなので、ある程度の落ち着きを見せながらもこれからも当分ヒットは続くだろう。

『ポケモン』ブランドの復活

 筆者も発表当日に即座にダウンロードした。自宅のすぐそばがポケストップなこともあり、家にいながらにしてアイテムが取り放題の恵まれた環境にある。とは言え、

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