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小池都知事に進言したい4つの満員電車対策(上)

選挙公約の「満員電車ゼロ」案を検証する

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 2016年7月に新しく東京都知事になった小池百合子氏は、「満員電車をゼロに」を重点公約として掲げて選挙戦を戦っていました。

1965年 ラッシュ時の新宿駅かつては駅員さんなどが乗客を車内に押し込む「押し屋」が大活躍していた=1965年の新宿駅
 高度成長期に比べて、通勤電車の混雑率は改善が進んではいます。しかし、とりわけ東京圏ではいまだに上位10路線でのラッシュ時は混雑率199%~182%という高い状態にあります。

 それに対して、鉄道各社は1両あたりのドア数の増加やワイドドア車の導入、千鳥停車等、これまで様々な工夫をこらしてきました。東急田園都市線のように、優等列車(快速、急行など)を通勤時間帯に中止するという荒業まで行うケースもありますが、残念ながら抜本的な変化には繋がっておらず、まだ対策が不十分であると言えるでしょう。

 そこで今回はいかにして満員電車を減らすべきかについて、時間差料金、複々線化、新しい路線の建設、編成数の増加という4つの対策を中心に論じて行きたいと思います。また、小池新都知事が今後問題解決に向けてリーダーシップを発揮することを期待してはいますが、彼女が出した2つの具体案に関しては疑問に残る点もあるので、検証をして行きます。

時間差料金で需要の分散化を図れ

 小池氏が公約としてあげていた案の1つに時間差通勤があります。これに関しては、出勤時間が会社ごとにバラバラになってきたことや、フレックスタイム制等の導入により、幾分効果があがっており、さらにそれを進めることが必要に思います。

 もちろん満員電車対策としてだけでなく、それ自体が柔軟な働き方につながる意義のあるものです。是非、小池氏にはクールビズを定着させた手腕で、東京のオフィスにフレックスタイム制度を定着させて頂きたいところです。

 さらにアイデアを出すのであれば、都知事だけで進められる案件ではありませせんが、高速道路や電気料金のように時間差で料金設定を変えるというのも面白いのではないでしょうか?

 需要が多い時間帯に価格が高く、需要が少ない時間帯は価格が低いというのは市場経済的に至極当たり前のことです。他の公共サービスでも普通に実施されているのですから、社会的な合意を得ることもさほど問題は無いでしょう。価格設定の煩雑さが予想されますが、ICカードが普及してきた昨今では、柔軟な対応も可能だと思います。

 確かにラッシュ時には定期券の利用者が多く、時間差料金にしてもさほど効果は望めないということも考えられます。そうであれば定期券の料金に関しても、混雑率が高まる時間帯には乗車できない「オフピーク専用定期券」を用意して、通常の定期券と価格差を設けるという方法もあるわけです。

 さらに時間帯別だけではなく、路線別でも混雑率をベースに料金に差を設ける方法も考えられそうです。たとえば、199%の総武緩行線(各駅停車)に比べて常磐緩行線は155%と約44%低いので、価格を低く設定しても良いのではないでしょうか? これに関しては総武線沿線の地元からの反対がネックになるかもしれませんが、料金を上げた何割かを総武線の混雑率対策に使用するというフォロー等の対策を立てれば、一考の価値はあると思います。

2階建て化はガラパゴス規格

 小池氏が満員電車対策として提示したもう一つの柱が、車両の2階建て化です。

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