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知られざるロカルノ国際映画祭リポート(上)

専門家にも一般客にも愛される工夫と企画

古賀太 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

 8月3日から13日まで開かれたロカルノ国際映画祭で、日本映画3作品が受賞したニュースが新聞やNHKで流れた。多くの人は「ロカルノってどこ?」「そんなに重要なの?」と思ったのではないだろうか。

バンコクナイツ『バンコクナイツ』(富田克也監督)
 今年のロカルノの国際コンペ部門では、映画祭の公式な賞ではないが、富田克也監督の『バンコクナイツ』と塩田明彦監督の『風に濡れた女』が若手審査員賞の1等と3等をそれぞれ受賞した。

 これは18歳~22歳の学生から選ばれた10名ほどが審査する。また若手コンペ部門では、真利子哲也監督の『ディストラクション・ベイビーズ』が新鋭監督賞を受賞した。

 去年(2015年)も、上映時間が5時間を超すことで話題になった『ハッピーアワー』の素人女性4人が女優賞をもらったことで話題になった。そのうえ、北野武の所属事務所「オフィス北野」がインディペンデント映画のプロデューサーに与えられる「ライモンド・レッツォニコ賞」を受賞している。

新人の登竜門、貴重な回顧上映

 ロカルノとは何なのか? スイスにある小さな都市の映画祭がなぜ重要なのか? 

 第一に言いたいのは、

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