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 前回は痴漢が社会悪として認知されていない原因をいくつか紹介しましたが、その土壌を生み出す上で強く影響を与えている偏見があります。それが、「Male sexual entitlement」であり、「男性である自分には性的満足を享受する権利・資格がある」という考えです。

男性が陥りやすい異常な発想

 この考えは日常の至るところに出ています。日本はポルノやその広告が日常に溢れていることは世界的にも有名ですが、これもポルノを見た人の不快感(多くは女性)とは関係無く、自分たちの性的満足は満たされて当然と考える男性社会の「Male sexual entitlement」が原因の一つです。

 また、ストーカーやセクハラ加害者に見られるように、相手に好意を示すような行動を不快に感じられると逆上するのも、この「Male sexual entitlement」が絡んでいる場合があります。

 たとえば、パートナーではない女性に対して頭を撫でる行為が、雑誌等の男性向け恋愛指南では有効な恋愛テクニックとして紹介されることがありますが、本来、明確な同意を得ない接触を強要することは、時と場合と状況によっては、性暴力的であるとも言えます。

 「壁ドン」が流行語大賞の候補にノミネートされた頃には、ネット上でも様々な突然のアプローチ術が話題になっていたのですが、「壁ドンも頭を撫でることも性暴力の可能性がある」と指摘する人に対して、「好意でやっていることなのに何が悪いんだ!」と反論する人が少なくありませんでした。

 本来、快か不快かは、撫でる側の好意は一切関係無く、撫でられる側の受け止め方で決まるものです。ところが彼らは、好意を持っていたら何をしても良いというわけではない、「好意」という印籠があれば性暴力が許されるわけではない、ということが分かっていないようです。

 また、熊本地震の際、「女子高生は頑張っている自衛隊員に手を振ってあげて欲しい」というTwitterでの発言がネット上で一部の男性から多くの支持を集めていました。

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筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

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