メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

[6]鉄道会社は痴漢対策で競い合うべきだ

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 これまで5回にわたって、痴漢を取り巻く現状を浮き彫りにしてきました。では、今後どのような対策を進めれば良いのでしょうか?

連載 最も身近な犯罪「痴漢」はなぜなくならないのか?

 私は大きく分けて3つの柱があると思います。それは、1.厳罰化、2.加害者や二次加害者にならないような教育の徹底および加害者になる危険性の高い人の「治療」、3.インフラ整備です。そのうち今回はまずインフラ整備についていくつか提案をしていこうと思います。

鉄道会社は早急に監視カメラの設置を

 痴漢対策のためのインフラ整備でその核となるのが、やはり監視カメラの設置です。

 近年、街中のいたるところで監視カメラを見かけるようになりましたが、2016年上半期(1~6月)の全国の刑法犯認知件数(暫定値)は、42年ぶりに戦後最少となった2015年の1年間(109万8969件)を下回るペースで推移しており、警察庁の担当者も「監視カメラによる効果が大きい」と証言しています。

JR埼京線の車内に設置された防犯カメラ20092009年、防犯カメラを設置したJR埼京線の車内
  実際に、2009年に先行して防犯カメラが導入された埼京線の一部車両では、設置前と設置後で6割も発生件数が減少したとの報告も出ており、効果は絶大と言えるでしょう。

 その後、2010年に京王線で2編成に導入され、2011年3月には警察庁が鉄道各社に対して、「女性専用車両」の拡大や防犯カメラの設置を申し入れました。

  このように毎年何かの動きがあったのでこのまま機運が盛り上がるかと思いましたが、残念ながらその後は導入の気配は無く、一時沈黙の時代を迎えます。6割も発生件数が減少した路線があるにもかかわらず、なぜ全車両に導入しようという動きが出てこないのかとても疑問です。

東急の事例に見る女性軽視の姿勢

・・・ログインして読む
(残り:約3276文字/本文:約4014文字)