メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

「とと姉ちゃん」の常子さん、薄幸すぎたゾ

「人のためにだけ生きる人生」じゃないはずなのにー

矢部万紀子 コラムニスト

幸薄いドラマ

 「とと姉ちゃん」の最終回は、だいぶ跳んで昭和63年になっていた。主人公の常子が昭和という時代を駆け抜けたことを示し、演じる高畑充希は白髪をだいぶ増やしていた。そして常子の起こした会社にほんものの「とと=お父さん」が出てきて、「常子は本当によくやった」と褒めてもらうシーンで終わった。

 西島秀俊演じる「とと」はかっこよくて、最後にまた常子の夢の中で見られてよかったよかった、というわけだが、最後にととが出てこなくてはならないところが「とと姉ちゃん」のつらいところだったなあ、と思う。

小橋常子役の高畑充希拡大小橋常子役の高畑充希さん。常子は幸薄く……
 常子さん、ずっと幸せそうに見えなかった。最後に夢で褒めてもらうのが精一杯という終わり方が、「薄幸な感じ」のダメ押しのようでつらかった。

 悪いドラマというわけではない。見るたびに憤りがわいてきた「まれ」の系譜では全くない。

 じゃあおもしろかったかと聞かれると、そうでもなかったですと答えざるを得ない。

 「どうしたもんじゃろのー」という台詞を「『あさが来た』の『びっくりぽんやー』なんで、ひとつよろしく」という感じで常子に時々言わせるのだが、全然はずまない。

 そもそも宇多田ヒカルの主題歌「花束を君に」の花束が「涙色の花束」で、ここからしてそこはかとなく寂しいわけで、「幸薄いドラマ」という表現が、私の中でいちばんしっくりする。

恋愛成分の不足

 で、この薄幸感はどこから来たかと考えると、「恋愛成分の不足」はひとつ挙げられると思う。 ・・・ログインして読む
(残り:約2163文字/本文:約2833文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

矢部万紀子

矢部万紀子(やべ・まきこ) コラムニスト

1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長をつとめた後、退社、フリーランスに。著書に『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)、『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)。

矢部万紀子の記事

もっと見る