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フランスに「食べログ」文化が入る余地はなし

ネットの点数よりも、自分がおいしいものを食べたいという欲求

古賀太 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

 大学の在外研修で、半年間パリで過ごしてきたばかりだ。日本の「食べログ操作事件」の話をネットのニュースで見ながら、「美食の都」パリでちょっと不思議な気分になった。そもそも、ネットで高い点数を得たからといって、どうして人が押しかけるのか。フランス人ならそう言うだろう。

 もちろんフランスにもネット社会は浸透しているので、レストランに点数をつけるシステムはある。アメリカから入ってきた「トリップアドバイザー」が一番有名で(→日本語のサイト)、ネットで店名を入れると一番に出てくる。5点満点で採点があり、コメントがある。

 フランスにも「ラ・フォルシェット」のようなネットの採点・コメントのシステムがある。ところがそれを参考にしているフランス人を、私は見たことがない。そもそもどちらも多くの店が5点満点の4点前後で、全体に大甘で参考にならない。

 言うまでもなく、フランスはミシュラン・ガイド発祥の地。ではミシュランは今も使われているのか。

 友人でフランス国立映画学校に勤務するフレデリックさん(男性、50代後半)に聞いてみると、「ミシュランは今でも生きている。まず60歳以上の裕福な人々は信用しているし、それから会社での接待には使われる。だけど、それ以下の世代の我々はそんな大金を費やすのは馬鹿らしいと思っている。昔に比べたら安くていい店が増えたし」。

食にあまり金をかけない人々に向けて

 21世紀になってからのフランスの文化を理解するのに最も重要なカギは、 ・・・ログインして読む
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筆者

古賀太

古賀太(こが・ふとし) 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

1961年生まれ。国際交流基金勤務後、朝日新聞社の文化事業部企画委員や文化部記者を経て、2009年より日本大学芸術学部映画学科教授。専門は映画史と映画ビジネス。訳書に『魔術師メリエス――映画の世紀を開いたわが祖父の生涯』(マドレーヌ・マルテット=メリエス著、フィルムアート社)、共著に『日本映画史叢書15 日本映画の誕生』(岩本憲児編、森話社)など。個人ブログ「そして、人生も映画も続く」をほぼ毎日更新中。http://images2.cocolog-nifty.com/

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