「第4回大阪ほんま本大賞」を言祝ぐ
2016年10月25日
大阪にOBOP(Osaka Book One Project)というプロジェクトがある。大阪の書店が集まり、ぜひ売りたい、多くの人にぜひ読んでもらいたい一冊に「大阪ほんま本(大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本)大賞」を授与し、参加書店で重点的に販売していこうというプロジェクトである。
「本屋大賞」の大阪版とも見られ、同様のプロジェクトは他の地方にもある(京都水無月大賞、広島本大賞、静岡書店大賞など)が、OBOPでは企画段階から取次も参画し、受賞作の出版社の全面協力も得て、大阪中の書店で一年に亘って増売を図るのが特徴である。
参加書店はナショナルチェーンから街の本屋まで大小さまざま、できるだけ多くの書店が参加できるよう、受賞作は文庫版の小説と限定している。因みに、受賞作の売り上げの5%は、大阪の福祉施設の子供たちに欲しい本を贈るための資金となる。未来の読者の育成も、プロジェクトの一環となっているのだ。
第1回(2013年度)の「大阪ほんま本大賞」受賞作は『銀二貫』(髙田郁、幻冬舎時代小説文庫)。江戸期の大坂商人の矜持を描いた、OBOPにぴったりの秀作であり、NHKでドラマ化もされた。第2回受賞作は橋下元市長に「虚仮にされた」(?)文楽を描いた『仏果を得ず』(三浦しをん、双葉文庫)、第3回は『すかたん』(朝井まかて、講談社文庫)と大阪を舞台にした小説が続く。
そして今年第4回の受賞作は、今は無き阪急ブレーブスとその本拠地西宮球場を取り上げた、増山実の『勇者たちへの伝言――いつの日か来た道』(ハルキ文庫)である。
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