配偶者控除、賃金差別……遅すぎる改革
2016年11月01日
世界経済フォーラムが毎年発表している世界各国のジェンダーギャップ(男女格差)指数。その2016年版の報告が発表されて、145カ国中、日本は前年の101位から111位へとランクダウンしました。
東アジア・太平洋地域で日本を下回ったのはカンボジア、韓国、東ティモールのわずか3カ国のみ。全体を4等分すると、中東諸国等とともに最下位グループを構成するという悲惨な状態です。もともと2006年の時点で日本の順位は80位でした。それが今や111位に後退し、経済、教育、健康、政治の全ての項目で2006年に比べて順位を落としています。
一方で、指数自体は2006年で0.645でしたが2016年は0.66と、ごく僅かですが上昇の傾向にあります。つまりこの二つの事実から、日本は他国に比べてジェンダーギャップを解消する改革があまりにも遅過ぎるために、途上国を含めた他国にどんどん抜かれてしまっている状況だと言えるでしょう。
この亀の歩み以上に遅い改革の歩みを象徴する例が、配偶者控除の税制改革ではないでしょうか。
「女性が輝く社会づくり」と「働き方改革」を掲げる安倍政権は、女性の働く意志を阻害している配偶者控除の改革を重要課題の一つとしてあげていますが、何度も議論の俎上に上がっているのにもかかわらず、今年もまた先延ばしになりそうな雰囲気です。さらに、廃止どころか、控除適用の上限年収を拡大するという案すら出てきています。
一方で、配偶者控除を夫婦控除に変更するという案も出ているようです。これは、期限付きの暫定措置であれば賛成しますが、本来は夫婦控除も不適切な対策だと思います。というのも、
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