「選択」編集部 編
2016年12月15日
知る人ぞ知る月刊雑誌『選択』。書店売りなし。毎月購読を頼むと、月初めに送られてくる。もちろん購読料はかかるが、購読者は3万人で結構だと啖呵を切る。雑誌に企業広告はほとんどなし。
本書の前書きに当たる部分で編集長の湯浅次郎は、「いざとなったら広告ゼロでもやっていける経営状況を保つことで、制約のない誌面作りを実現して」いると、気持ちのいい言葉を吐く。まさにそれゆえか、歯に衣着せぬ誌面で読者の目と心をくぎ付けにする。
全体は3部に分けられているが、ともかくありとあらゆる話題に切り込んで痛快この上ない。
現在話題の「自民党東京都連」はさっそく目を惹くところだが、「スポーツマフィア 電通」も忘れられないところ。ともかく新聞・テレビで報じられる薄っぺらなニュースを格段に上回る原稿が並ぶ。個人的には「私大と新聞の『異様な関係』」が身につまされた。
これを読んで驚くのは、よくもまあこれだけ多彩なネタを取り上げて、きちんとしたデータをベースにしながら、読ませる記事を書けるものだという点。「科学研究費」のうさん臭さ、闇の部分をこれだけ剔抉(てっけつ)した記事は、それこそほかのメディアには見られないものだろう。
「センテンス・スプリング」の活躍があるではないかと言う人がいるかもしれないが、問題の奥底にまで踏み込んでいく意気込みと、そこから出てくる驚くほどの事実には、誰しもが感心するはずである。この点で「文春さん」とは比べ物にならない。
これで困るのは、ますます通常の新聞、雑誌に興味を持てなくなること。テレビはすでに見放したからいいけれど、ほかに読む新聞、雑誌を見つけようにも、それが難しくなる。書物もだんだん面白いものがなくなっているから、活字文化はやはり衰亡していくのだろうか。
最後に一言。「解説」は本書で一番つまらない部分。
*ここで紹介した本は、三省堂書店神保町本店4階で展示・販売しています。
*「神保町の匠」のバックナンバーはこちらで。
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