点と点をつなぐ音楽、撮影、エフェクト
2016年12月14日
大ヒット中の映画『君の名は。』は、12月11日までに累計興行収入205億1357万6300円、累計動員1578万3094人に到達。『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001年)を抜いて、歴代4位となった。年末年始も興行は継続されることから、更に数字を伸ばすと思われる。
『君の名は。』は上映時間約107分、総カット数約1650、作画枚数約6万枚、1カット平均約3.9秒/36枚。
その特徴を明確化するため、上映時間の近いスタジオジブリ作品と比較してみたい。
『魔女の宅急便』(1989年)約102分、1179カット、作画枚数約6万7000枚、1カット平均約5.2秒/57枚。
『ホーホケキョ となりの山田くん』(1999年)は約103分、938カット、作画枚数約17万3000枚、1カット平均約6.6秒/184枚。
要するに、本作の総カット数はかなり多いが、作画枚数は少なく、ワンカットの秒数は短い。前回記したように、「点描の集積」はその主要因だと思われる。
[1]『君の名は。』大ヒットを演出から考える――寸断された点描の集積
ただし、点描だけで成立するはずもなく、そこには点と点をつなぐ「線」もある。以下、「線」の役割を果たし、進行を様式化させている演出について6つの項目に分けて考えてみたい。
まずは音楽と同期した設計について。
本作にはRADWINPSによる歌唱曲が4曲も挿入されているが、
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