女子の進路を阻む「ガラスの天井」は幼い頃から無数にある
2017年01月11日
国会や地方議会の男女の候補者数を政党ができる限り「均等」にするような努力を求める「政治分野における男女共同参画推進法案」が2016年12月15日、衆議院に付託され、継続審議中となっています。
そのような状況を解消するファーストステップにしようというのがこの法案であり、理念法ながらも大きな意味を持つものだと思います。将来クオータ制(割り当て制度)を導入する上での礎となるかもしれません。
朝日新聞デジタルの報道によると、2016年11月、自民党内の合同会議の議論では、「女性の社会進出で、社会全体が豊かになっているとは思えない(西田昌司参院議員)」等と異論が噴出したようですが、無事に自民党からも法案が提出されたことは大きな一歩と言えるでしょう。ただし、更なる反発も予想され、成立するかどうか必ずしも楽観はできません。
特に法案成立を阻むのが、「男は外で働き女は家を守る」という古い価値観に根差した考えと、認知バイアスの一つである公正世界仮説(この世界は人間の行いに対して公正な結果が返ってくる公正世界であるため、報われないのは本人の努力不足=自己責任であるという考え)という考えの2つに大きく分類されると思います。
先の自民党の会議でも「能力のある人は自力ではい上がる」と、女性議員が少ないのは社会構造的な問題ではなく、あたかも自己責任だという見解を述べた議員もいたとのことです。このような考えが非常に根強いせいで社会構造における脆弱性を問題視する観点が育たず、アファーマティブアクション(積極的差別是正措置)の整備が進まないと考えられます。
東大が女子に家賃補助をするのは国の怠慢のせいだ――女性の安全を守るのは国の役目(WEBRONZA)
ですが、女性議員が少ないのはもちろん努力が足りないからではありません。「ガラスの天井」という言葉があるように、社会に何かしらハードルとなっているものがあると考えるのが妥当です。
彼らが自己責任の問題だと断定してしまうのは、おそらくガラスの天井一枚一枚はさほど厚くはないだろうと考えている(もちろん薄いケースもあります)からでしょう。ただ、仮に厚くなくても、最終的な目標に至るまでの過程でいくつものガラスの天井を越えなければならず、「塵も積もれば山となる」のが実情です。
では、女性の経済活動や政治活動における地位を上げられない「ガラスの天井」は、女性が産まれて成長していく過程において、いったいいつ頃から顕著に現れるのでしょうか?
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