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「うちの娘は正社員にもらわれる」という親の幻想

今の生活レベルを維持したい娘の夢を親が奪う

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

「Girls, be ambitious」時代は「BOYS & GIRLS BE AMBITIOUS」!?   
 前回寄稿した「難関校に進学させない圧力を女子にかけるのは誰?――女子の進路を阻む『ガラスの天井』は幼い頃から無数にある」の記事では、政治分野における男女同数が達成されないことの原因を教育に探し求め、その現象の一部が既に高校受験の時点で如実に現れていることを見てきました。

 今回は、さらに深掘りして、親が女性にチャレンジングな教育を受けさせないことが、その後の女性の人生にどのように影響を及ぼすのかについて考察したいと思います。

娘の進学希望を妨げることはもはや虐待だ

 まず、「女性は有名難関大学へ行かなくて良い」と考えている親は、おそらく娘が将来結婚して専業主婦になって子育てをすることを前提として考えているのでしょう。

 確かにそういうライフコースが一般的な時代であれば、その説明に一定の説得力はあった(ただし合理性は無い)のかもしれませんが、今や共働きが当たり前の時代です。性別を理由に進学のチャレンジを抑える理由はどこにもありません。

 「女性は有名難関大学へ行かなくて良い」と考える親は、娘が連れてくる夫の年収がいくらぐらいだと想像しているのでしょうか? 非正規労働者も4人に1人になりました。たとえ現在正社員の男性でも、いつ職を失うかもわかりません。過労やうつ等の問題も顕在化しています。

 親の世代で、男性の賃金が当たり前のように右肩上がりだった時代とはわけが違いますし、生涯所得は親の世代と比べて数千万円単位で違うとも言われています。

 離婚も3割の比率で起こります。もちろん離婚自体は決して悪いことではありませんが、日本社会が3割離婚することを前提にした仕組みにあまりにもなっていないために、離婚によって女性が不利になることが往々にしてあります。離婚したシングルマザーの約2割しか養育費を受け取れていないというのはその典型例でしょう。

 そもそも現在20代の女性の4人に1人は結婚しないと言われており、老後まで独身で生きる人にとっては難関大学に行くか行かないかは、直接自分の生活レベルに直結する問題かもしれません。

 このような状況にもかかわらず、チャレンジしたいと思っている娘の意志を摘むのは、親が娘の幸せを奪っているに等しいと言えるのではないでしょうか? つまり、

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