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【公演評】星組『燃ゆる風―軍師・竹中半兵衛―』

七海ひろき、竹中半兵衛でバウ単独主演。頭脳明晰でクールな“戦国の沖田総司”に

さかせがわ猫丸 フリーライター


 星組公演、バウ・戦国ロマン『燃ゆる風―軍師・竹中半兵衛―』が、1月12日、宝塚バウホールで初日を迎えました。

 主演を務めるのは、端正なマスクとクールな雰囲気が魅力の七海ひろきさん。2015年に宙組から星組へ組替えを経て、ますます洗練された男役に成長してきました。昨年はタカラヅカ・スカイ・ステージの特集番組で素顔の魅力も発掘され、ただいま人気も急上昇中です。

 そんな七海さんが研14にしてつかんだ初のバウホール単独主演で挑むのは、軍師・竹中半兵衛です。優秀であるばかりでなく、「その容貌、婦人の如し」と言われ、戦国の沖田総司にもたとえられたほどの美貌だったとか。いかにも七海さんのキャラクターにはまりそうな役ではありませんか。

青天が似合う水もしたたる美男子・七海

拡大星組『燃ゆる風』公演から、竹中半兵衛役の七海ひろき=岸隆子撮影
 赤く燃える舞台は、国が乱立する動乱の世。バックライトを浴びて一人、舞台に登場する七海さんは、甲冑(かっちゅう)に身を包んだ戦国武将姿が勇ましくもりりしい。青天のかつらが美貌をより一層際立たせ、中堅男役らしい余裕や色気も備わった、これぞ水もしたたるいい男です。

 豊臣秀吉の軍師として活躍した竹中半兵衛は、冷静沈着で頭が良く、人を殺(あや)めることを避けた戦略を好み、武功を上げても出世を望むことはありませんでした。大河ドラマでは黒田官兵衛にスポットが当たりましたが、「両兵衛」と並び称された半兵衛も実に魅力的な人物です。

――時は戦国時代。天下統一を狙っていた尾張の織田信長(麻央侑希)は、自らがてこずっていた稲葉山城をわずかな手勢で落とした竹中半兵衛(七海)に興味を示していた。さっそく木下藤吉郎(悠真倫)を向かわせるが、半兵衛は城を主君に返上し、すでに戦場から身を引いたという。だが、藤吉郎の「乱世を終わらせよう。人のために生きてこそ人」との言葉に動かされた半兵衛は、藤吉郎の下で働く条件で、織田方につく決意を固めた。

 半兵衛の良さは、命を粗末にしないという一本筋の通ったところでしょうか。その源は幼き日、母の病を治す薬草を採るため、美濃から尾張へ侵入した出来事にさかのぼります。捕らわれたところを救ってくれた濃姫に、命の大切さを諭されて以来、常に「命の使い道」を心に刻むようになったのでした。知性あふれる作戦を次々と繰り出すクールな外見とは裏腹に、人間性豊かな半兵衛には、誰もが心惹かれずにはいられないでしょう。

 半兵衛を慕って付いていく三郎太を演じるのは天華えまさん。先の大劇場公演『桜華に舞え』で、初の新人公演主役をつとめた星組期待のエースです。明るくまっすぐな青年が、志半ばで倒れてしまう切ない役ですが、天華さんはさわやかに演じていました。槍を振り回す姿がさまになっていたのは、桜華で学んだ殺陣がいきているかも!?

豪胆な信長役で新境地開拓の麻央

拡大星組『燃ゆる風』公演から、織田信長役の麻央侑希(中央)=岸隆子撮影

 半兵衛の生き方を変えた濃姫を演じるのは、音波みのりさん。今、最も充実し、脂の乗り切った娘役です。信長の妻らしい凜としたたたずまいと、和化粧が似合う日本人形のような美しさで存在感もたっぷり。『桜華に舞え』では弟との再会に感情を爆発させる演技で客席を涙の海に包みこみましたが、濃姫では跡継ぎになれないため手放した娘との再会で、感情をひた隠す姿に涙を誘われずにはいられませんでした。

 豪胆な武将、織田信長に挑むのは麻央侑希さん。鳴かないホトトギスを殺してしまう信長はダイナミックなキャラクターで、のんびりしたイメージの麻央さんがどう演じるのか注目でしたが、『桜華に舞え』での犬養毅役で培った演技力が、ここでもしっかりと生かされていました。実際の信長も長身で細身だったと言われる通り、麻央さんも175センチで抜群のスタイルを持ち、見た目の迫力も満点。冷酷で残虐な命令を次々と下す暴君ぶりを大胆に披露し、新境地を開拓していました。

◆公演情報◆
星組公演
バウ・戦国ロマン『燃ゆる風―軍師・竹中半兵衛―』
2017年1月12日(木)~1月23日(月) 宝塚バウホール
[スタッフ]
作・演出:鈴木 圭
公式ホームページ

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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