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坂東玉三郎と鼓童、待望の共演第二弾

テーマは『幽玄』、世阿弥が見た世界を能の代表演目を題材に表現


 歌舞伎俳優の坂東玉三郎と太鼓芸能集団 鼓童は、2006年に初演された『アマテラス』に続く共演第二弾として、『坂東玉三郎×鼓童特別公演 幽玄』を上演することを発表した。2017年5月16日(火)から東京・Bunkamuraオーチャードホールにて、ほか、新潟、愛知、博多、京都で上演する。このたび制作発表が行われ、玉三郎をはじめ鼓動メンバーの作品への意気込みが届いたので紹介する。

拡大『幽玄』制作発表会見から、左から、石塚充(鼓童)、坂東玉三郎、中込健太(鼓童)=岡本隆史撮影

 佐渡を拠点に世界で活躍する鼓童と玉三郎との出会いは2000年。2003年には『鼓童ワン・アース・ツアー スペシャル』で玉三郎の演出を受け、2006年に『アマテラス』で初共演。翌年には歌舞伎座で再演し、2013年の再々演では東京・福岡・京都で計67公演全て完売。伝説の舞台となった。

 15年以上にわたり、その自由自在な発想と類い稀なる審美眼で鼓童の創作活動に大きな変革をもたらしてきた玉三郎。今回のテーマは『幽玄』と題し、世阿弥が見た世界を『羽衣』、『道成寺』、『石橋』など能の代表演目を題材にして表現することに挑戦する。不世出と評される玉三郎の優雅な舞いを、太鼓界を牽引し続けてきた鼓童が斬新な切り口で囃し、花柳壽輔はじめ、花柳流舞踊家も出演し華を添える。能の代表的な演目を題材に、玉三郎の舞踊が、魂を揺さぶる鼓童の太鼓の響きと、能楽にインスパイアされた妙なる音色と一体になって、奥深くも情感豊かなイマジネーションの新たな地平へといざなう。

“日本のもの”に向かって創りはじめた

拡大『幽玄』=岡本隆史撮影
■青木孝夫(株式会社北前船 代表取締役社長)

 鼓童は坂東玉三郎さんとの共演2作目『幽玄』を5月より公演致します。鼓童は2000年に坂東玉三郎さんと出会い、創立25周年の2006年に玉三郎さんとの共演の『アマテラス』という神話を題材にした作品を上演させて頂きました。玉三郎さんと共演ということは鼓童にとっては、夢のようなお話だったのですが、また今年このように実現することが出来ました。この17年間の玉三郎さんのご指導により鼓童が成長した姿をお見せできると思います。テーマが『幽玄』ということなので、前作と比べ、さらに鼓童のメンバーたちに表現の緻密さと深さを求められることになると思います。一昨年から玉三郎さんのご指導に加え、主に能楽の先生方、花柳流の家元にもお力添えをいただき、とても充実した稽古をさせて頂いています。世阿弥が言っている「珍しきが花」というように、鼓童の演奏によって、天地をつなぎ、宇宙にも届くような演奏をし、今までにないような作品が生み出せればと思っています。

■坂東玉三郎
 鼓童とは、2006年の『アマテラス』で共演し、その後、2012年から4、5作と様々な作品を創らせて頂きました。そして2017年『アマテラス』に続く共演作として『幽玄』を上演します。これまで、いろいろな作品を創ってまいりましたが、他の作品のお稽古の中で、ここにいる石塚充さん、中込健太さん、そして本日はいらっしゃいませんが、代表の船橋裕一郎さんたちと、「あなたちはどんな作品が創りたいの?」という話になったんです。そうしましたら、「“日本のもの”を創りたい」と答えたんです。ただ、日本の様式を創るのはとても難しいという話をしました。もちろん和太鼓は日本のものであります。和太鼓の世界であれば、それなりのものができますが、日本の様式をもった美しさのある舞台を創るのは、難しいと思っているからです。しかし、それからいろいろと考えまして一昨年から“日本のもの”に向かって創りはじめました。

 “日本のもの”というと、これまでもやってきたじゃないかと言われそうですが、極端に日本的なものというと、世阿弥の世界かなと思います。歌舞伎は、世阿弥よりも(年月が)もっと下りますからね。太鼓というのは太古からあります。日本の独特の芸能の世界、舞台芸術というと、「能楽」を題材にした方がいいと思いました。私が歌舞伎的なものやればそれで済むのでしょうが、鼓童さんとやるからにはあえて「幽玄」という世界。鼓童(の作品)とも歌舞伎とも違った世界に行きたいと思います。

拡大『幽玄』制作発表会見から、坂東玉三郎=岡本隆史撮影
─内容について

 第一幕で『羽衣』の物語をやらせて頂きます。第二幕は、はじめ『石橋』だけと考えていましたが、やはり私が歌舞伎の世界からやってきたということもあり、『道成寺』の世界です。私が着ております衣装あるいは様式で、歌舞伎的な雰囲気を持ち込みたいと考えています。

─玉三郎さんの演じる役は?
 『羽衣』では、天女を演じます。『道成寺』では、花子を演じます。『石橋』は、獅子として登場します。他にも天女のワキツレ等、花柳流の家元さんやお弟子さん、そして鼓童のメンバーにも出て頂く予定です。

─稽古で苦労している点は?
 今回鼓童のメンバーは能楽の楽器を用いて、演奏する訳ではございません。その様式をもらって、翻訳していくわけです。ですので、その点は大変です。歌舞伎にも能楽にも決まり事はあります。しかし、観阿弥、世阿弥の頃は違って、もっと自由だったと思うのです。ただ、決まり事を壊すだけ、自由で楽しければよいというものでもありません。その線引きをしていくのが稽古です。鼓童は、ちゃんとお稽古をしている人たちです。あまりにも芸能の幅が広くなってしまったために修行できる時間と場所が限られている。でも、佐渡というところに入って、ずっと稽古をし、自分たちを理解していくことができる。この鼓童という素材でどれだけお客様が楽しんで頂けるものをできるか、というのが私の課題です。

能楽は「人間じゃないところに行く」という印象

拡大鼓童=岡本隆史撮影

■石塚充(鼓童)
 こんなにも早く、玉三郎さんと舞台の上でご一緒させて頂く機会を与えて頂き、さらにオーチャードホールをはじめ、全国各地の名だたる劇場で、上演をさせていただくことは、この上ない喜びであり、そして、身が引き締まる思いです。

 今回は日本の伝統芸能を題材にしているということで、これまでよりも敷居が高く、難易度の高く、大変難しい作品にはなるかと思いますが、それをお客様にはシンプルに楽しんで頂けるように、皆さまの記憶に残るような素晴しい作品になるよう精一杯務めさせて頂きます。

 能楽の稽古は、まず正座が大変ですね(笑)。また、普段鼓童の作品は人間が生活をしている様や呼吸が通った音楽を演奏しますが、能楽は「人間じゃないところに行く」という印象です。先生方の呼吸等を見ていると、人間であるということを超えて行くという印象があります。

 玉三郎さんがいらっしゃる前の鼓童は、しきたりのようなものがありました。そこへ玉三郎さんがいらして、何故そうしなきゃならないのかという疑問を投げかけられるんです。否定をするでも肯定をするでもなく、いつもニュートラルな状態で、発想として自分たちには無いことをおっしゃるんです。おかげで、今の鼓童は風通しがよくなり、明るく自由になったと思います。

■中込健太(鼓童)
 今まさに能楽の勉強を皆でしていますが、同じ太鼓でもこんなにも表現が違うものなのかと難しさを感じているところです。いつも玉三郎さんとご一緒するとき、玉三郎さんは今まで気付かなかったような太鼓の響きを気付かせてくださいます。今回もどんな新しい太鼓の響きが発見出来るのか楽しみです。

※鼓童は、1981年にベルリン芸術祭でデビューした後、これまでに49カ国で5800回以上の公演を行っている太鼓芸能集団。

◆公演情報◆
2017年5月16日(火)~20日(土) 東京・Bunkamuraオーチャードホール
2017年5月26日(金)~28日(日) 新潟・新潟県民会館
2017年5月31日(水)~6月2日(金) 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
2017年9月2日(土)~18日(月・祝) 福岡・博多座
2017年9月21日(木)~23日(土・祝) 京都・ロームシアター京都メインホール
[スタッフ]
演出:坂東玉三郎
[出演]
坂東玉三郎、鼓童(船橋裕一郎、石塚充、坂本雅幸、中込健太、前田剛史、草洋介、蓑輪真弥、住吉佑太、地代純、三浦康暉、鶴見龍馬、渡辺健吾、池永レオ遼太郎、大塚勇渡、北林玲央、三浦友恵、前田順康、吉田航大、ほか)、花柳壽輔、花柳流舞踊家
公式ホームページ

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