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清水富美加氏出家と芸能ムラの「ブラック体質」

コンプライアンス意識の低さを自ら公言する芸能人

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 女優の清水富美加氏の出家を巡って、大手芸能事務所「レプロエンタテインメント」と宗教団体「幸福の科学」が激しく対立していることが、世間を騒がせています。

 幸福の科学側は、清水氏が、ブルマーやスクール水着を着せられるなど「性的対象」になる仕事や思想信条に合わない人肉を食べる役をやらされたことや、最近まで生活に困窮するほどの収入しか支払われていなかったこと等、「芸能界にしばしば見られる奴隷契約」だったと指摘しました。

 レプロ側も記者会見でそうした仕事の強要は無かった旨の反論をして疑惑を否定しましたが、幸福の科学出版は『全部、言っちゃうね。――本名・清水富美加、今日、出家しまする。』(千眼美子=清水富美加氏の法名著)を2017年2月17日に出版(『amazon』の「本」カテゴリ総合1位を獲得)して事の顛末を公表する等、対立は冷めやらぬ状況です。

能年玲奈とSMAP解散で知れ渡った業界の体質

 双方の主張が食い違う部分も多く、事実はまだ定かではありませんが、幸福の科学側が指摘しているような月給5万円や「性的対象」になる仕事の強要という「ブラック体質」が事実であるならば、かなり問題だと言えます。

 私は決して幸福の科学を擁護するわけでも支持するわけでもありませんし、組織として信用を置いているわけでもありません。ですが、日ごろから芸能界のブラック体質に関する悪評を耳にしている人々が、「言い分に誇張があったとしても、幸福の科学が指摘している内容は概ね合っているのではないか?」と推測しても不思議ではないと思うのです。

 たとえば、今回騒動になっているレプロエンタテインメントは、過去にも女優の能年玲奈氏の独立に関して騒動がありました。正確な事実は不明であるものの、事務所側から何かしらの「圧力」があり、現在「のん」という芸名で活動しているのも旧所属事務所のレプロが能年名義で活動し続けることを許さなかったからという報道もされています。

 そして何よりも日本の芸能事務所への不信感を大きくした一件と言えば、昨年(2016年)のSMAP解散騒動でしょう。これも真実は分かりませんが、所属事務所とメンバーのかなりドロドロの内輪揉めが原因だったと報じられています。また、解散のニュースは様々なメディアで報じられたものの、テレビの報道では奥歯にものがはさまったような表現がされていたことに「何かの圧力か忖度によって言わないことがあるのだろう」という感覚を覚えた人も少なくなかったはずです。

 このように芸能界が「ブラック体質」だと推測できるような疑惑が立て続けに浮かびあがってきた中で、人々の芸能界に対する不信感は少しずつ大きくなっているように感じます。

 その流れの中で今回のようなトラブルが発生したわけですから、「たまたま告発したのが幸福の科学という新宗教だったというだけで、今回もまた芸能事務所側の問題ではないか」という“推定有罪”の見方をしてしまう人が多いのも自然のように思うのです。

「事務所はクロ」と述べているような芸能関係者

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