勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
メディア・広告業界は「専業主婦」賛美で自分の首を絞めている
女優・堀北真希さんが芸能界引退を発表し、世間に衝撃が走りました。トップクラスの人気を誇る女優さんだけに、結婚・出産を機に20代であっさりと引退してしまうことに驚いた人も多かったはずです。
その少し前、2016年末にはサッカー日本代表でイタリア・インテル所属の長友佑都さんと結婚した女優の平愛梨さんが、仕事をセーブするとしたことも話題となりましたが、堀北さんは芸能界自体から完全に引退するとあって、世間の驚きはその比では無かったように思います。
また、2017年3月22日には長年日本の女子バレーボールを牽引してきた東レの木村沙織選手も引退の記者会見をしました。まだ30歳で日本のトップクラスの実力を依然維持しているにもかかわらず、引退して専業主婦になるという決断に、各所から惜しむ声が聞こえてきます。
女優とアスリートと全く異なる二人ですが、ともに大成功を収めた人物として国中に名を轟かせたにもかかわらず、専業主婦になることを公言して表舞台から去って行きます。その一方で、女性活躍推進が叫ばれている昨今、二人の決断にどこかモヤモヤとした人も少なくないのではないでしょうか。
もちろん個人の選択に対して他人がとやかく言うことはできませんし、言うべきでもありません。ただし、メディアや世間が「専業主婦」という選択をどのように扱うかに関しては、気を付けるべきポイントがいくつかあると思うのです。
たとえば、必要以上に専業主婦という生き方を賛美したり、主婦になることが幸せになることとイコールのように語ることは慎む必要があるでしょう。今回も彼女たちが主婦になったことで、「羨ましい」と憧れを抱く発言は少なくないようですが、専業主婦というのは本来非常にリスキーな選択なのです。
まず、最大の問題は
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