フリースペースの充実など鉄道会社の“愛の手”を
2017年04月05日
平成に入ってから、鉄道事業者の多くはお年寄りや身体の不自由な方などが安心して利用できるよう、一部の座席に設定されたシルバーシートの名称を「優先席」に変えて、妊娠中や小さな子供を連れた方も対象に含めたほか、車内に車椅子スペース、駅にエスカレーターやエレベーターをそれぞれ設置するなど、万全の態勢を整えつつある。現在では都市を中心にホームドアの整備も進められている。
ベビーカーについては、昭和の時代から駅構内や車内では折りたたむことを原則としていたが、東武鉄道や東京急行電鉄など13社は乗客の要望に応え、1999年元日から「他のお客に迷惑をかけない」、「ベビーカーの安全は乗客自身が責任をとる」ことを条件に折りたたまなくても使用を認めた。
○ベビーカーをご使用になるお客様へのお願い事項の内容を変更いたします
しかし、ベビーカーを折りたたまずに使用するケースは、ベビーカーマークが発表されるまで、理解しない人が多く、迷惑行為ランキングの上位に入っていた。その理由として挙げられるのは、多くの乗客は“「ベビーカーを折りたたんで乗るのがマナー」という認識を持っていたから”だと考えられる。
例えば、車椅子はそれがないと生活できないので、ラッシュ時の列車でも周囲の乗客は協力的な態度を見せ、列車の安全運行に支障をきたさぬよう努めている。しかし、ベビーカーは親が赤ん坊を降ろしたあとも折りたたまない、ロングシートの端の席に陣取ると乗降用ドアの片側分が占拠され、乗降に支障をきたす恐れがあるので、「マナーが悪い」とみなされるのだろう。また、ベビーカーの乗降に手間取ると、列車が遅れる原因にもなってしまう。
ベビーカーマーク作成後、多くの鉄道事業者は車椅子スペースをベビーカー兼用にしたほか、2015年にJR東日本がE235系を世に送り出した際、双方のスペースを「フリースペース」という名称にしてからは、その名が全国的に広まった。ただし、有料の特急車両などは、現在もベビーカーマークが貼付されていない。
しかし、私にはフリースペースを使うベビーカー使用者が少ないと感じられる。無論、フリースペースのない車両は少なくないし、あったとしても別の車両に乗車していることもある。
だが、フリースペースが利用されないのは、
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