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進化著しい俳優・小西遼生に聞く(下)

1930年代の上海を舞台にした音楽劇『魔都夜曲』出演

岩橋朝美 フリーエディター、フリーライター


進化著しい俳優・小西遼生に聞く(上)

お客さんに楽しんでもらうためには?と考え続けていた

拡大音楽劇『魔都夜曲』に出演する小西遼生=冨田実布撮影

――今までの作品についても伺いたいと思います。今年は『フランケンシュタイン』の繊細な青年アンリと、ビクター・フランケンシュタインによって蘇生された異形の怪物役で、新境地を開かれました。どのように役作りをされたのですか?

 韓国発の作品を日本に持ってくるにあたって、プロデューサー、演出家、演者、スタッフ全員で、これをどう作っていこうかと考えながら作っていきました。『フランケンシュタイン』は楽曲がとてもパワーを持っていて、原作自体とても面白い作品なので、それを韓国でオリジナルミュージカルにしたことはとてもすごいことですが、お客様が作品に求めることは国が違えば違う。その中でどうやってこの作品を成り立たせようかと考えていました。

 自分の役作りというよりも、「この作品をお客さんに楽しんでもらうためにはどうしたらいいんだろう?」と考え続けていた記憶があります。台本ができてからも、1ページごとに「これはどうなんだろう?」「もうちょっと、こういう方向に持っていったほうがいいんじゃないか」と演出の板垣(恭一)さんと話し合って、セリフもよりお客さんに伝わりやすいように変更するという作業を積み重ねていたので、あまり個人の役作りの記憶がないんですよね。作品の中で、役が担わなければならないものをずっと考えていました。

拡大音楽劇『魔都夜曲』に出演する小西遼生=冨田実布撮影
――その答えが先日の舞台だったと……。

 一番嫌なのが表面的に演じることで、怪物はぶっとんだ役柄だけど、ちゃんと精神がつながっている生き物として生きなきゃいけないなと思っていました。怪物は見た目は凄いけれど、以前よりもある意味人間らしさを持っている役でなければいけなかったので、そこを成立させるために必死でしたね。負の感情がたくさん生まれてくる役柄ではあったけれど、その負の感情を全部セルフで出すことは不可能で、そこには勇人やアッキー(中川晃教)が演じるビクターがこちらに飛ばしてくる醜さが必要で。それを拾うために、セリフを変えたり、ひとつひとつ組み立てをして、それは答えの出る作業ではないので、できるところまでやったという感じでした。

――小西さんのアンリは、ビクターに対しての感情が友情を超えていたように思いました。恋愛的な愛情とともに、父性のような包容力が感じられたんですね。また、アンリが死して怪物として目覚めた時に、ビクターにコートを掛けてもらってうれしそうな表情をするところに、無意識下でアンリの記憶があるように見えました。

 それはうれしいです。あの作品は、フランケンシュタインの物語に、友情物語を盛り込んでいるところが凄く難しいんですよね。それをちゃんと利用しないと面白くない。怪物の過去がはっきりと見えていることが悲しさにつながったり、面白さにつながったりするので、ある程度は見ている方にゆだねる作り方にしようと思っていました。怪物としては喜びを一瞬覚えた瞬間でもあるだろうし、それをうれしいという言葉ではまだ説明できない自我のない状態でもあるし、ただそういうものを細かく作っていって、お客さんが勝手に想像してくれたらいいなと思って演じていました。

◆公演情報◆
cube 20th. presents 音楽劇『魔都夜曲』
2017年7月7日(金)~7月29日(土) 東京・Bunkamura シアターコクーン
2017年8月5日(土) ~8月6日(日) 愛知・刈谷市総合文化センター 大ホール
2017年8月9日(水) ~8月13日(日) 大阪・サンケイホールブリーゼ
[スタッフ]
作:マキノノゾミ
演出:河原雅彦
[出演]
藤木直人、マイコ、小西遼生、壮 一帆、松下洸平、秋 夢乃、高嶋菜七、浜崎香帆、中谷優心、キッド咲麗花、村上貴亮、吉岡麻由子、前田悟、板倉チヒロ、田鍋謙一郎、奥田達士、コング桑田、春風ひとみ、山西惇、村井國夫、橋本さとし
[企画・製作]株式会社キューブ
公式サイト
〈小西遼生プロフィル〉
2005年、特撮 TVドラマ『牙狼』に、主人公・冴島鋼牙役で出演。2007年、ミュージカル『レ・ミゼラブル』でマリウス役を爽やかに演じ脚光を浴びる。TVドラマ、映画、舞台と活動範囲は広い。近年の舞台出演作品に、『フランケンシュタイン』『ガラスの仮面』『End of the RAINBOW』『ダブリンの鐘つきカビ人間』など。
小西遼生オフィシャルサイト

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筆者

岩橋朝美

岩橋朝美(いわはし・あさみ) フリーエディター、フリーライター

映画関連のムック・書籍の編集に携わった後、女性向けWEBメディア・Eコマースサイトのディレクションを担当。現在はWEBを中心に、ファッション・美容・Eコマースなど多様なコンテンツの企画、編集、取材、執筆を行う。また、宝塚やミュージカルを中心とした舞台観劇歴を生かし、演劇関連の取材や執筆も行う。

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