岸田法眼(きしだ・ほうがん) レイルウェイ・ライター
2007年1月にライターデビュー。旅、鉄道、小説、時事問題、プロ野球、大相撲、平和などをテーマに執筆。『TRAIN MODELING MANUAL』(ホビージャパン)、『鉄道のテクノロジー』(三栄書房)、『鉄道ファン』(交友社)、『ハフィントンポスト日本版』(ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン)などに寄稿している。
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
当選者しか乗れない“超豪華夜行列車”だけでいいのか
今、“超豪華夜行列車”による富裕層向けのプレミアムな旅が注目を集めている。しかしながら、それだけでは夜行列車の復権には至らない。ほかの交通機関などに乗り換えた人々を取り戻すためには、“勝ちにいく夜行列車”の設定が必要不可欠だ。
ブルートレインが消えて早2年、JR東日本は2017年5月1日に〈TRAIN SUITE 四季島〉、JR西日本は6月17日に〈TWILIGHT EXPRESS 瑞風〉が相次いでデビュー。2013年にデビューしたJR九州の〈ななつ星 in 九州〉に倣い、周遊ツアー型の“超豪華夜行列車”として注目を集めている。
これらの特徴は、時刻表に掲載されない列車であること。残念ながら、みどりの窓口や旅行代理店へ行っても当該列車のきっぷを発売しておらず、各社のホームページなどに申し込んでも、あまりの人気の高さに“当たる”保証もない。
超豪華夜行列車の定員は、〈TRAIN SUITE 四季島〉34人(2017年5・6月乗車分の平均倍率6.6倍、当選確率15.1%)、〈TWILIGHT EXPRESS 瑞風〉34人(2017年6~9月乗車分の平均倍率5.5倍、当選確率18.2%)、〈ななつ星in 九州〉30人(2017年10月~2018年2月乗車分の平均倍率16倍、当選確率0.79%)で、平均32.7人。募集方法が異なるとはいえ、非常に狭き門に変わりはなく、乗車できること自体が“奇跡”といえよう。
こういう状況とあっては、“超豪華夜行列車”よりも“庶民でも気軽に乗れる夜行列車”の復活、復権を望みたい。