「美人すぎる○○」という職業人評価もダメすぎる
2017年06月30日
稲田朋美防衛大臣の失言が相次いでいます。2017年6月27日に、都議会議員選挙に出馬する自民党候補を応援する集会で演説し、「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と訴えました。「国家機関」が特定候補を応援するという内容の発言には当然のごとく批判が殺到し、撤回するという事態に発展しました。
また、2017年6月3日にシンガポールで開かれた「アジア安全保障会議」における演説も、国内外で批判を浴びました。
稲田氏は同席したオーストラリアとフランスの女性国防大臣に言及しつつ、“We belong to the same gender (中略) and most importantly, we are all good looking!”(私たち<=仏豪の女性大臣3名>は皆同性で、何より重要なのは皆容姿が優れている!)と発言しました。
朝日新聞の報道によると、フランスのルモンド紙の女性記者は「大臣の容姿の善しあしなんて誰も気にしていない。女性である大臣自身が、女性差別的な発言をしたのに驚いた」と述べたとのことです。
今回はこの「グッドルッキング」発言について、どこが問題なのか論じたいと思います。
差別とは「悪いニュアンスの言葉で誰かを非難したり不当に扱うこと」であり、肯定的なフレーズであれば差別ではないと思う人もいるかもしれません。ですが、稲田氏の発言はルモンドの記者が指摘したように女性差別発言です。
性差別とは「扱いを性別によって変えること」であり、「容姿が関係の無い場面で容姿を“品評”の対象にすること」も含みます。外見について良い評価をしたか悪い評価をしたかではなく、品評の対象にしたこと自体が問題なのです。
一方で、彼女の発言を「単なるジョークではないか」と見る人もいます。確かに、自分で自分の容姿を美しいと表現することは、一種の面白みがあることは事実で、稲田氏の発言も「ナルシストジョーク」だったと考えられるかもしれません。実際、稲田大臣がこの発言の際におどけた表情をしたのも、本人としては冗談のつもりで言った面があるからでしょう。会場から笑い声が聞こえたのも、冗談としての面白さがあったからと考えられます。
ただし、単なるナルシストジョークとは大きく異なるポイントがあります。それは、
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