青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト
1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
天才少年と天才じいさん、どっちが欠けてもここまでの爆発力はなかった
藤井四段敗れる 30連勝ならず
ってNHKのネットニュースの文面だけど、勝った相手の名前ぐらい出してやれよ!
で、ちょうど投了した時にやってた「Mr.サンデー超拡大スペシャル」で、ゲストに来てた女の人(名前を見損なった )が、「コンピューターの将棋とちがって藤井くんの“負けました!”っていう頭の下げ方が人間らしくていい」というようなことを言っていたが、この人はコンピューター将棋をぜんぜん知らない。
機械だけど、アームを曲げてペコンと頭を下げるのが、すごく人間味溢れてて可愛いんだぞ。そういうとこまでちゃんとできてるんだ、今のコンピューター将棋は。ただ強いだけじゃないんだぞ。
しかし、藤井聡太四段の話題がこんなに盛り上がって、「藤井システム」の藤井猛九段は今どのような心境なのであろうか。四段と九段、まだまだ実力差は大きい、将棋で藤井といえば藤井猛、我に迷い無し。とか考えたりしてるのだろうか。……と思ったら、「“じゃない方”の藤井」と名乗ってるらしい。Twitter情報でそのことを知った。さすがである藤井先生。
などと知ったようなことを言ってるけど、私は駒の動かし方すら知らない将棋知らずですが、将棋棋士についてはけっこう詳しい。将棋棋士について書かれた本を昔から読んでいるので。
ルックスとエピソードで、駒も動かせないのに棋士マニア。タイプなのは谷川浩司永世名人に指の美しい佐藤康光、そして一連の将棋ソフト騒ぎによって渡辺明と三浦弘行、両方ともすごく好きになってしまった。ミーハーの極みだ。
自慢じゃないが、「将棋指し」に興味を持ったキッカケは、週刊朝日に載った「ついに名人になった神武以来の天才・加藤一二三」についての記事を読んでだ。1982年のことですよ。
その時は、「子供の頃から天才と言われてたけど名人にはなれなかった苦労の人」で「キリスト教徒」で「長考」で「対局中にでかい空咳する(たぶん対戦相手は迷惑)」という、当時は今ほどキャラが立っていなかったにもかかわらず、そして新名人の基本提灯記事にもかかわらず、一読して「なんか変わった人かも」ということがビンビン伝わってくる記事であり、その後、毎日新聞社が出した棋士の写真集みたいなやつでも、「加藤一二三先生大好き!」みたいなページとなっていて、とにかく昔からああいう人だったのだ。なんで今ごろブレイクしたのか。