映画文化を守る解決の鍵はヨーロッパの団結
2017年07月10日
カンヌ国際映画祭は4月にパリで開いた記者会見で、コンペティション部門を含む公式上映作品のタイトルを発表した。ここで米動画配信大手のネットフリックス作品2作が入ったことで、後日FNCF(フランス映画館連盟)など関係団体から激しい批判にあう。映画祭事務局とネットフリックスは妥協点を見つけるべく交渉を続けるも決裂。結局、映画祭側は、来年(2018年)からコンペティション部門の作品はフランスでの劇場公開を義務化するとし、大論争に発展したのは周知の通りだ。
この考え方を軸に、現在では劇場公開後、それぞれのメディアで映画作品を流せる時期が細かく定められている。VODとDVDで4カ月後、カナル・プリュス局ら有料TV局で10~12カ月後、その他のTV局で22~30カ月後、ネットフリックスのような契約タイプのVODでは36カ月後、つまり3年経たないと作品を流せない。
実は昨年(2016年)のカンヌ映画祭は、すでにアマゾン製作の作品が公式作品に多数選ばれ、さながら「アマゾン元年」のような年となっていた。開幕上映作品はウディ・アレンの『カフェ・ソサエティ』。コンペティション部門には、ニコラス・ウィンディング・レフンの『ネオン・デーモン』、パク・チャヌクの『お嬢さん』、ジム・ジャームッシュの『パターソン』があった。今年も同部門にはトッド・ヘインズの『ワンダーストラック』があった。しかしアマゾンの場合、「メディアの時系列」のルールを守っているため批判を受けない。
古賀太 「ネットフリックス=映像配信は映画界を変えるのか――現在は映像文化の過渡期。カンヌ映画祭の反応は時代遅れ?」(WEBRONZA)
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