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「男女共用トイレ」と盗撮について、反論に応える

盗撮が容易に起きない空間をつくることがやはり重要

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

障害者や高齢者が使いやすく設計された多目的トイレ拡大多目的トイレは増えてきたが、誰もが利用しやすくて安全・安心なトイレのあり方はまだまだ議論が必要かもしれない
 この間、私の前稿「『男女共用トイレ』」にひそむ盗撮の危険性」に、いくつかの反論(読者からのそれも含め)が出された。

「男女共用トイレ」にひそむ盗撮の危険性――「男女共同参画」という観点は貫かれるべきなのか
続・「男女共用トイレ」にひそむ盗撮の危険性――盗撮を容易にする環境を作ってはならない 

 筆者として、反論に対してなるべく早くに答えるべきだったが、他の論考を執筆・掲載していた時期と重なったため、対応が遅れたことをまずお詫びする。

ここはスウェーデンではなく日本である

 5月25日付で、本サイト執筆者・山内正敏氏による「男女共用トイレに関しての日本の知識は誤解だらけ――盗撮懸念論というナンセンスな感情論に対する理性的な答えとは」という文章が掲載された。そこでは要するに、スウェーデンの現状を見れば、男女別のトイレは不要である、と書かれている。スウェーデンの手洗い事情は興味深いし、参考になった。だが、日本はスウェーデンではない。その文化を一朝一夕に取り入れることも困難である。

 しかも、スウェーデンではともあれ(もっとも私はスウェーデンで盗撮がないとは決して考えていない)、日本でたくさんの盗撮が起きているのは事実である。私がデータを「一切」示していないと反論を受けたが、私は前稿で引用・言及した「ポルノ被害と性暴力を考える会」、あるいは「ポルノ・買売春問題研究会」等が地道に行ってきた各種の調査や研究を下に論じた(ポルノ・買売春問題研究会『論文・資料集』vol.6、ポルノ被害と性暴力を考える会『今は、まだ名前のない性被害があります』)。前稿は盗撮の問題を概括的に論ずることが目的ではないため、データ提示の必要を特に認めなかっただけである(もっとも一つではあるが、データははっきり示したのだが)。

盗撮を起こさない環境を作ることが第一である

 山内氏が言うように、技術(盗撮)に技術(盗撮器発見)をもってすることが可能なら、それは望ましい。私も望ましいと肯定する。

 けれども、

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

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