メリットよりも、多くの課題を抱える“扱いにくい車両”
2017年08月15日
国鉄時代から、“新幹線電車を在来線に直通させる”構想があった。これならば乗り換えなしで目的地へ向かうことができるほか、所要時間の短縮にもつながる。しかしながら、新幹線の標準軌(1435ミリ)に対し、在来線は狭軌(1067ミリ)であるほか、車両の性能や規格なども異なっており、それをどのようにクリアするかが課題であった。
1987年4月1日の分割民営化後、JR東日本は1992年7月1日に山形新幹線を開業させ、ついに新幹線電車の在来線直通運転が実現した。
在来線直通用に開発された“ミニ新幹線”車両の400系は、車両規格を在来線に合わせたほか、新幹線区間では電車とホームのあいだがかなり空くので、転落防止用のステップを設置した(それでも左右の隙間が見えてしまうことに不安を覚える)。また、同じ交流電化でも新幹線と在来線では電圧が異なるので、複電圧仕様にするなど、かなり手の込んだ車両となった。
一方、在来線区間では、当該区間の線路を狭軌から標準軌に改軌(一部区間は狭軌と標準軌のどちらも走行できるように対応)、踏切の一部除去などが行なわれた。
山形新幹線の開業により、東京―山形間の所要時間が短縮されたほか、航空機からの“乗り換え客”も多く、成功をおさめた。のちに、1997年3月22日に秋田新幹線が開業、1999年12月4日に山形新幹線は新庄まで延びた。
新幹線電車の在来線直通運転は画期的である半面、在来線の改軌工事期間中は列車の長期運休及びバス代行輸送、莫大な工事費用といった課題を残した。
それを解消するべく、鉄道技術総合研究所は1994年から狭軌、標準軌のどちらも走行できるフリーゲージトレインの開発に乗り出した。
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フリーゲージトレインは、線路上に設けられた軌間変換装置で車軸の長さを可変し、狭軌、標準軌のどちらも走行できるのが特徴だ。実際、JR西日本・四国・九州エリアや海外で走行試験が行なわれた。
国土交通省は九州新幹線長崎ルートについて、武雄温泉―長崎間をフル規格で建設し、博多―新鳥栖間は現行の九州新幹線鹿児島ルート、新鳥栖―武雄温泉は在来線(長崎本線及び佐世保線)を活用する計画をたてていた。
しかし、試験走行後、車軸の摩耗が見つかり、その対策と原因究明に時間が必要となった。
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