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【公演評】星組『ベルリン、わが愛』

映画制作へ情熱を燃やす青年を紅ゆずるがまっすぐに演じる

さかせがわ猫丸 フリーライター


拡大『ベルリン、わが愛』公演から、テオ役の紅ゆずる(左)とジル役の綺咲愛里=岸隆子撮影

 星組公演、ミュージカル『ベルリン、わが愛』、タカラヅカレビュー90周年『Bouquet de TAKARAZUKA(ブーケ ド タカラヅカ)』が、9月29日、宝塚大劇場で初日を迎えました。1920年代のドイツ・ベルリン。ナチスが台頭する激動の時代、ひたむきに映画作りに情熱を燃やした青年を、星組トップスター紅ゆずるさんが演じます。これがトップ就任2作目で、初の芝居とショーのオリジナル作品2本立てとなりました。

 コメディセンスの高さで評判の紅さんですが、今回は正統派二枚目に真っ向から挑みます。ともにシンプルな作品だからこそ、紅さん本来の甘い魅力がたっぷりと味わえることでしょう。芝居ではひたむきに映画を愛する青年をまっすぐに演じ、ショーでは宝塚レビュー90周年を記念して、伝統あるレビューで歌い踊り、相手役の綺咲愛里さんとともに、芸術の秋を華やかに彩っています。

クラシックで正統派二枚目の紅

拡大『ベルリン、わが愛』公演から、テオ役の紅ゆずる=岸隆子撮影
 幕が上がると、いきなりビックリ! なんと舞台の上にドーンと映画館の客席が登場し、ほとんどの出演者が紳士淑女のお客様として着席しているという斬新な演出です。こちらの客席側にスクリーンがある設定で、笑ったり、驚いたり、顔をしかめたりと、それぞれの豊かな表情に、どんな映画なんだろうと想像力がかき立てられました。そういえばタカラジェンヌたちも、舞台からいつもこんな客席を見ているんですね。

――1927年。ベルリンでは、ドイツ随一の映画会社Universum Film AG(=UFA)が社運を賭け、制作費1300万マルクを投じた映画『メトロポリス』のワールドプレミアが行われていた。だが評判は最悪で、UFAは倒産の危機に瀕してしまう。重役たちに責められ困惑する社長クリッチュ(美稀千種)を横目に、プロデューサーのカウフマン(七海ひろき)は「10分の1の予算で大衆が喜ぶ娯楽映画を作ってみせる」と宣言。それを聞いていた助監督のテオ(紅)は「トーキーを作らせてほしい。必ずヒットさせる」とカウフマンにかけあう。テオはさっそく、親友で絵本作家のエーリッヒ(礼真琴)に脚本を依頼、ついに夢の実現へ向かって走り出す。

 ベルリンではまだ無声映画の時代、声の入ったトーキーを作りたいと願っていたテオにとって、絶好のチャンスが巡ってきました。幼い頃に両親を亡くしたテオにとって、映画は生きる希望であり夢そのものだったのです。

 演じる紅さんは等身バランスの良さで、ハンチング帽に蝶ネクタイの“映画屋さんスタイル”もカッコよく着こなしています。ひたすらに映画を愛する青年をストレートに演じることで、テオの純真さと熱さがジンジンと伝わってきました。歌唱力も公演ごとに成長し、どこまでも伸びる歌声が気持ちいいほど。正統派二枚目役も不足はありません。

◆公演情報◆
ミュージカル『ベルリン、わが愛』
タカラヅカレビュー90周年『Bouquet de TAKARAZUKA』
2017年9月29日(金)~11月6日(月)  宝塚大劇場
2017年11月24日(金)~12月24日(日) 東京宝塚劇場
[スタッフ]
『ベルリン、わが愛』
作・演出:原田 諒
『Bouquet de TAKARAZUKA』
作・演出:酒井 澄夫
公式ホームページ

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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