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【公演評】花組『はいからさんが通る』

柚香光が懐かしの少女漫画をリアルに再現、憧れの少尉役でお客様を乙女に変える

さかせがわ猫丸 フリーライター


拡大『はいからさんが通る』公演から、伊集院忍役の柚香光(左)と花村紅緒役の華優希=岸隆子(Studio Elenish)撮影

 花組公演、ミュージカル浪漫『はいからさんが通る』が、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演されました(10月24日~30日、東京・日本青年館ホール)。原作は1970年代に連載された大和和紀さんの大ヒット少女漫画で、子どもの頃に大好きだったというファンの方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。テレビアニメや映画、ドラマにもなったこの不朽の名作が、いよいよ宝塚に登場です。

 みんなの憧れ、伊集院忍少尉を演じるのは、花組のホープ柚香光さん。これが初のドラマシティ主演かつ東京進出作品となります。少女漫画の再現にふさわしい麗しさとスマートな演技で、初めて本格的なヒロインをつとめる華優希さんを優しくリードする姿は、ただカッコいいだけじゃない、男役としての成長も感じさせました。

 小柳奈穂子先生の演出らしく、キャラクターの個性を生かしながら名場面もしっかり押さえているので、初めて見るお客様でも作品の良さがそのまま味わえること間違いなし。笑いあり、涙あり、もちろん胸キュンありで、女性が憧れる夢の世界がたくさんつまった作品となりました。

美しく優しい少尉がハマる柚香

拡大『はいからさんが通る』公演から、伊集院忍役の柚香光=岸隆子(Studio Elenish)撮影
 大正浪漫あふれる時代。祖父母の代から許婚(いいなずけ)と決められていた、おてんばな女学生・花村紅緒とハーフのイケメン陸軍少尉・伊集院忍が繰り広げるロマンチック・ラブコメディは、面白さも切なさも満載で、読者の少女たちをどれほどキュンキュンさせてきたことでしょう。これこそ宝塚にぴったりな題材だったかもしれません。そしてあのユニークな登場人物の面々はどんな風に再現されたのか、原作ファンも待ちきれない幕開きです。

――時は大正7年。自転車を乗りこなし、竹刀もふりまわす花村紅緒(華)は、新しい時代を生きる元気いっぱいなハイカラ娘。そんな彼女にある日、縁談の話が舞い込んだ。相手は祖父母の代に決められた許婚、伊集院忍少尉(柚香)だという。忍はハンサムな紳士だったが、結婚相手は自分で選びたい紅緒は猛反発。とりあえず自分を好いてくれる幼馴染の藤枝蘭丸(聖乃あすか)と駆け落ちしてしまう。

 忍を演じる柚香さんは、カーキ色の軍服に身を包んだ姿がとにかく麗しい。西洋人風の顔立ちが、少尉がハーフである設定に説得力を持たせています。笑い上戸という可愛い一面もありますが、常に冷静で優しくて、紅緒に対しても最後まで「ですます調」を崩さない、徹底した紳士なのがたまりません。暴れ馬のような紅緒をドーンと受け止め、手のひらで転がすこの感覚、女性ならくすぐられないはずがない。

 戦場を表すダンスシーンでは、剣を片手にキレ味鋭く踊る柚香さんの良さを最大限に発揮し、まさに少女漫画の王子様そのもの。課題の歌唱力も着実に伸びてきて、花の95期生をけん引するスターとして、ますます光り輝いています。

 紅緒も「親の決めた結婚なんて」と忍を拒否し続けますが、小さな事件が起こるたびに少しずつ気持ちが近づいていくのがわかり、忍の魅力に比例して、紅緒と一緒にドキドキしてしまいます。

◆公演情報◆
ミュージカル浪漫『はいからさんが通る』
2017年10月7日(土)~10月15日(日)  梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
2017年10月24日(火)~10月30日(月)  日本青年館ホール
[スタッフ]
原作:大和和紀『はいからさんが通る』(講談社KCDXデザート)
脚本・演出:小柳奈穂子
公式ホームページ

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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