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山本芳樹ソロミュージカル『ロートレック』/下

沢木順×山本芳樹対談「少しでも希望の光をそそげたら」

真名子陽子 ライター、エディター


山本芳樹ソロミュージカル『ロートレック』/上

作品のテーマ性を大事にしている

拡大沢木順(左)と山本芳樹=伊藤華織撮影
――この作品を通して伝えたいことはなんですか?

沢木:前回の『ロートレック』を見てくださったお客さまが泣きながら話してくれました。「私の息子は不幸じゃなかったんですね」と。息子さんを若くして亡くしていたんですね。作品の最後に、「一瞬一瞬が光り輝いていたから幸せだった」と入れているんですが、それが響いたみたいで、息子の人生も光り輝いていたんですねと言ってくださったんです。世の中で不幸を背負ってつらい思いをしてる人がたくさんいますが、それでも人生は素晴らしいんだよということを伝えられたらなと思っています。元々そのテーマで作っていたんですが、この時に伝わったなと思いました。でも今回は、とにかく楽しみなんですよね。芳樹の良さが伝わればいいなと思っています。

山本:ありがとうございます。僕は、このロートレックという人、作品、僕のパフォーマンスがお客さまの希望の光になればいいなと思うんです。いろんなハンデや自分を取り巻く環境、状況、今見えているものにまず感謝して、そして今いるこれが自分なんだということを受け止めた時に、次が見えてくるんじゃないかなと思うんです。受け入れる、受け止める、ということですよね。見てくださる方に、少しでも希望の光をそそげられたらなと思っています。

沢木:僕は、作品のテーマ性を大事にしています。それも「これが、テーマだ」と見せるのではなく、「これが、テーマかな?」と思わせるくらいでいいんです。19歳で東宝に入った時に、菊田一夫が、「テーマというものはオブラートに包むものだ。テーマを前面に出したら芝居とは言えない」と教えてくださったんです。『キャッツ』のテーマは大英帝国だし、『ラ・マンチャの男』は、誰でもキリストになれるというのがテーマだからね。

沢木:緊張しなかった。山本:それは沢木さんだからです!

拡大山本芳樹=伊藤華織撮影

沢木:予言するけど、この舞台ね、すっごい楽(らく)だよ。

山本:(笑)

――楽?

沢木:こんな気楽な作品はないと思うほど楽。

山本:ひとりですからね。

沢木:全部自分でチョイスできるから。初演は7回公演だったんですけど、体力的にはきついけど、疲れない。お父さんの心理から子供の心理へ瞬間に切り替える、この切り替えが楽をさせてくれるみたい。

山本:そうですね。お父さんの心理だけをずっとやるほうが大変かもしれませんね。切り替えができるから良いんですよね。

沢木:すっごい楽だったもん。緊張もしなかったし(笑)

山本:それは沢木さんだからです! 性格です(笑)。そこが沢木さんのすごいところですね。

沢木:それと主役の方が楽なんだよね。不思議だよね?

山本:舞台に出てしまえば持っていってくれますからね、物語や周りが。ポンといきなり出るほうが大変だし、疲れてしまう。

――主役の方が波に乗っていける感じなんですか?

山本:そうですね。

沢木:この前の音合わせでは、波に乗ってたからね(笑)。だから、これからは物語を深めていけたらいいね。作曲家が意図しない歌の表現、作詞家が意図しないイメージの膨らませ方、それらを深めていければ。作曲した玉麻(尚一)さんが、意図するよりもイメージが膨らんでいたとおっしゃっていたので、大丈夫だなと思っています。山本芳樹の心理変化がメロディになればいいなと思います。

山本:曲がすごく良いんですよ。

沢木:どうしても難しく書きがちなんだけど、幼稚園の子が歌えるようなメロディを書いてほしいと言ったんです。役者なので、いくらでも膨らませることができるから、膨らませるスキがないメロディは書かないでくれと言いました。でも芳樹には、歌いにくかったら、いくらでも変えていいと言ってます。

◆公演情報◆
2017年12月5日(火)~6日(水) 東京・内幸町ホール
[スタッフ]
構成・脚本・作詞:さらだたまこ
演出・歌唱演出:沢木順
作曲:玉麻尚一
主演・演出:山本芳樹
●チケットのお申し込み・お問い合わせ
オフィスサワキ/090-9368-4708:0467-44-4401
sawaking365@gmail.com
※メールでのお申し込みは、お名前・ご住所・返信先・ご希望日時・枚数をご記入ください。
〈沢木順プロフィル〉
早稲田大学文学部演劇科に在学中、東宝ミュージカル『ファンタスティックス』のオーディションで主役に抜擢。その後『ラ・マンチャの男』などに出演後、劇団四季に入団。数々の作品で主演を演じる。四季退団後、2004年からソロミュージカルに挑戦。『YAKUMO~小泉八雲』『ロートレック』を企画・制作・出演と精力的な活動を続けている。
〈山本芳樹プロフィル〉
劇団スタジオライフ所属。作品へ誘う圧倒的な存在感と繊細な演技力に定評がある。劇団の代表作『トーマの心臓』や『PHANTOM』で主演を務めるほか、外部作品へも出演している。作詞・作曲も手がけ、定期的にソロライブも開催している。2018年1月13日(土)・14日(日)に、『Y’s Live vol.2』の開催が決まっている。

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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