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公演評:『Arkadia -アルカディア-』

あどけなさとダイナミックなダンスで魅了、月組・暁千星が初のバウホール単独主演

さかせがわ猫丸 フリーライター


拡大『Arkadia -アルカディア-』公演から、ミネット役の暁千星=岸隆子撮影

 月組公演『Arkadia -アルカディア-』が、宝塚バウホールで上演されました。天性の華と卓越したダンステクニックで、入団当初から注目されてきた月組の若手スター、暁千星さんは、2012年に首席で入団した98期生です。2014年には大劇場公演『明日への指針』新人公演に初主演。2015年の大劇場公演『1789 -バスティーユの恋人たち-』では、トップ娘役の愛希れいかさん演じるマリー・アントワネットの恋人フェルゼン役を演じ、同年9月にはバウホール公演『A-EN』で、朝美絢さんとダブル主演を務めました。すでに新人公演の主演も3度経験し、着実に成長を続ける暁さんが、いよいよ初の単独バウホール主演に挑戦します。

 演出は、2016年のバウホール公演『鈴蘭 (ル・ミュゲ) -思い出の淵から見えるものは-』でデビューした樫畑亜依子さんで、これが2作目となりました。

すてられた子犬のような暁

拡大『Arkadia -アルカディア-』公演から、ミネット役の暁千星=岸隆子撮影
 暁さんが最初に抜擢されたのは、2013年のドラマシティ公演『THE MERRY WIDOW』のニエグシュ役。北翔海莉さん演じる主人公の執事役で、たくさんのセリフとソロナンバーまであり、客席を驚かせました。その頃はまだぽちゃぽちゃしていて、歌や演技もつたないものでしたが、その後も数々の重要な役を与えられてきたことで経験値が高まり、歌唱力も飛躍的に向上しました。スタイルも男役らしくスッキリと引き締まって、小さな顔とのバランスも良く、実際の身長以上に大きく見えるのも、恵まれた彼女の個性と言えるでしょう。そんな暁さんが単独初主演で挑むのは、屈折した過去を持つ少年でした。

――ナイトクラブ「アルカディア」では、連日、華やかな舞台が行われていた。客の男たちは花形スター、ダリア(美園さくら)を射止めようと皆必死だ。そんなある雨の夜、ダリアは道で倒れていた少年(暁)と出会う。家に連れて帰り、ミネット(=子猫ちゃん)と名付けて、そのまま一緒に住まわせることにしたが、ダリアのことを密かに愛する幼馴染でクラブのダンサー、フェリクス(輝生かなで)はおもしろくない。いらだつあまりミネットにケンカを挑むが、逆に倒され、舞台に立てなくなってしまう。ダリアにうながされ、代わりにダンサーとして踊ることになったミネットはあっという間に客を魅了、看板スターへと変身していくが……。

 暁さん演じるミネットは、人生を達観したように淡々としていて、どこか不思議な雰囲気を漂わせる少年です。ダンサーだった父親が舞台で亡くなった後、女手一つで育ててくれた母と折り合いが悪くなり、家を飛び出したまま、何年も街をさまよっていたのでした。

 よく大型犬に例えられる暁さんですが、雨に打たれてダリアに助けられる姿は、すてられた子犬のように愛らしさがいっぱいです。ミネットはもちろんダンサーでした。夫を亡くした舞台を恨む母から、「踊ってはいけない」と禁止されたことで封印していましたが、ダリアの頼みで解き放ったことから、一躍、アルカディアのスターとして脚光を浴びます。

 暁さんのまだあどけなさの残る若さがまぶしく、そんな可愛らしさとダイナミックなダンスとのギャップに、アルカディアのお客様も、バウホールのお客様も魅了されてしまいました。

◆公演情報◆
『Arkadia -アルカディア-』
2017年12月1日(金)~12日(火) 宝塚バウホール
[スタッフ]
作・演出:樫畑 亜依子
公式ホームページ

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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