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沙央くらま、感謝の花道

【月刊タカラヅカ】退団公演「一日一日大切に」

谷辺晃子


拡大沙央くらま=谷辺晃子撮影
 【朝日新聞紙面より】専科の沙央(さおう)くらまが、雪組公演「ひかりふる路」で退団する。雪組で育ち、月組をへて専科生として各組の舞台を彩った貴重な存在だ。「また雪組に出られたのは奇跡。一日一日を大切に過ごしたい」と幸せをかみ締める。

 歌劇団を去ると決めたのは、昨年1~3月の宙組公演「Shakespeare~空に満つるは、尽きせぬ言の葉」に出ているときだった。「シェークスピアの没後400年記念の作品に携われるのが幸せすぎて」

 くしくも退団公演は、古巣の雪組の新トップスター望海風斗のお披露目公演ともなった。「新時代を迎える雪組を見守るよう、同期のチギ(雪組の前トップスター早霧せいな)からバトンを渡されたような気持ちです」

 退団の発表は、出演していた月組公演「All for One」の公演中だった。突然の知らせに動揺し、楽屋口で号泣するファンの姿に胸を痛めた。「いまも毎日、私のために泣いて下さっていて……。本当に感謝しかありません」

 2001年の入団以来、甘い雰囲気をまとった男役として注目されてきた。17年の宝塚人生のうち12年を雪組で過ごした。雪組とは? 「自分と向き合い、葛藤しながら戦ってきた場所」。その礎があったからこそ、いまがある。

 最後に巡り合った役は、ロベスピエールの友人デムーラン。理不尽な恐怖政治下で、信念を貫く気骨あるジャーナリストを熱く演じる。下級生のころからフランスが好きで、「休みになるとよくパリへ行っていましたね」。すべての経験をデムーランに注ぎ込み、来年2月の東京公演千秋楽まで走り抜く。