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平野綾、『ブロードウェイと銃弾』に出演/上

福田雄一演出の明るくスタイリッシュなコメディ・ミュージカル

真名子陽子 ライター、エディター


拡大平野綾=岸隆子撮影

 ミュージカル『ブロードウェイと銃弾』が日本初上演される。1994年に公開されたウディ・アレン脚本の映画『ブロードウェイと銃弾』のミュージカル版。この作品でアカデミー賞助演男優賞、監督賞、脚本賞など7部門にノミネートされ、2014年にウディ・アレン自らミュージカル化しブロードウェイで上演された。陽気な笑いとソング&ダンスがたっぷり盛り込まれたミュージカルで、日本版の演出はコメディ作品を多く手がける福田雄一が担う。

 売れない劇作家とギャングの部下でボスの愛人のボディガード、初めは正反対の2人が、徐々にお互いを認め合い、タッグを組んで作品の成功を目指していく。明るくスタイリッシュなコメディ・ミュージカル。劇作家デビッド役の浦井健治とギャングのチーチ役の城田優がW主演する。ギャングの愛人で才能ゼロの女優オリーブ役、平野綾に話を聞くことができた。

 福田組(福田雄一演出作品を指す)はすでに経験済みの平野。その福田から「キンキン声の女優」と言えば平野綾しか浮かばなかったと言われ決まった、お墨付きのオリーブ役。その福田作品や福田の演出方法について、初共演の浦井と城田の印象、また主演を務め、事前にロンドンまで行って臨んだ『レディ・ベス』再演への思いなど、真っ直ぐな言葉で語ってくれた。

ブロードウェイ・ミュージカルは自分の原点

拡大平野綾=岸隆子撮影

――今までブロードウェイ・ミュージカルの日本版に何度か出演されていますが、どんな印象をお持ちでしょうか?

 ショーの要素が強い印象があります。幼少の頃にニューヨークに住んでいたことがあって、その時から憧れていたのがブロードウェイ・ミュージカルだったんです。

――そうなんですね。よく観に行かれていたんですか?

 はい、家族でよく観に行ってました。その時の憧れが今の仕事につながっていると思いますし、ブロードウェイ・ミュージカルは自分の原点だと思っています。イギリスのウエストエンドの作品も好きなのですが、やはりどちらかというとブロードウェイの作品の方が好きですね。

――幼少の頃、ブロードウェイ・ミュージカルをどんな感覚で観ていたのですか?

 とても小さかったので、夢を見ているような感じで見ていたと思います。ミュージカルを観た日の夜に、本当に夢に出てきたときもありました。シーンがそのまま夢に出てくるんです(笑)。とても集中して見ていた記憶がありますね。

――ミュージカルの英才教育みたいですね!

 いえいえ、そんなことないです! 親が好きでしたので、いろんな作品を見させてもらっていました。それは本当にありがたかったなと思います。

――平野さんがこのお仕事をされているのを、ご両親は喜んでいらっしゃるのでは?

 そうですね。最初はミュージカルに出たくて児童劇団に入ったのですが、自分から入りたいと言ったときに、「そうなると思ったよ」と言われたんです。それからいろんなジャンルのお仕事をさせていただいて、今一番やりたかった舞台に立てているので喜んでくれています。

「綾ちゃんにやって欲しい役があって、ピッタリなんだ」

拡大平野綾=岸隆子撮影

――『ブロードウェイと銃弾』は映画を見られたそうですが、いかがでしたか?

 時代背景がとてもおもしろくて、登場人物は皆、どこかしらがダメな人たちで(笑)、まともな人が出てこないなあと。コメディの場面もゲラゲラ笑うのではなく、心理戦で笑えるところがあって、キャラクターも一筋縄ではいかない雰囲気で……役者がどのように演じるかによって、作品の雰囲気が変わるんだろうなと思いました。

――今回は、そのミュージカル版です。その話を聞いた時は?

 元々、福田さんの作品に何作か出させていただいているのですが、福田さんから「今度、綾ちゃんにやって欲しい役があって、ピッタリなんだよね」とおっしゃってくださっていたんです。どんな作品でどんな役だろう?なんて思っていたら、『ブロードウェイと銃弾』のオリーブ役だったんです。「ちょっと福田さん、この役にピッタリってどういうこと?」って思いながらも、今までの福田作品の中で、散々いろんな試みをしてきて、「それは、ちょっと厳しいな…」ということもやってきましたので(笑)、信頼は得られているのかなと思いましたし、とてもありがたいなと思いました。

――そのお気持ちを福田さんにはお伝えしたんですか?

 制作発表の時にお話したら、「キンキン声って言ったら、綾ちゃんしか思い浮かばないんだもん」っておっしゃって。「真っ先に思い浮かべてくださって、ありがとうございます!」という感じです(笑)。

◆公演情報◆
ミュージカル『ブロードウェイと銃弾』
2018年2月7日(水)~28日(水) 東京・日生劇場
2018年3月5日(月)~20日(火) 大阪・梅田芸術劇場メインホール
2018年3月24日(土)~4月1日(日) 福岡・博多座
[スタッフ]
脚本:ウディ・アレン
オリジナル振付:スーザン・ストローマン
演出:福田雄一
原作:ウディ・アレン/ダグラス・マクグラス(映画『ブロードウェイと銃弾』より)
[出演]
浦井健治、城田優
平野綾、保坂知寿、愛加あゆ、ブラザートム、鈴木壮麻、前田美波里 ほか
公式ホームページ
〈平野綾プロフィル〉
児童劇団へ入り子役として活動を開始。2001年に声優でデビューし、数々の作品で主要な役の声を務める。2011年に『嵐が丘』で舞台デビュー。声優と女優を両立させながら活躍の幅を広げている。主な舞台出演作品は、『レディ・ベス』『コメディ・トゥナイト!』『マーダー・バラッド』『エドウィン・ドルードの謎』『レ・ミゼラブル』『モーツァルト!』など。
平野綾オフィシャルブログ

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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