「人間は素晴らしいんだー!」というメッセージが…
2017年12月27日
朝ドラのことを語りたいのではない。花登筺のことを語りたいんです。
「あの」花登筺、って言っていま通じるのか、『細うで繁盛記』『どてらい男』『あかんたれ』『ぬかるみの女』と、彼が脚本書いた連続ドラマはとにかく一世を風靡したもんだ。泥臭くてジメジメして主人公は理不尽に虐めぬかれたりするものの最後は見事に商売で成功する連続ドラマで、一回見ちゃったら最後まで見ずにはいられないっていうやつ。
池井戸潤ドラマって、現代の花登筺ドラマなんだろうか。
と、最初考えてみたのである。
企業(商売)モノで、主人公やその会社が苦労して最後には成功、達成感とともに完。視聴者も前のめりに見てしまって最後にスカーッとなる、という。『半沢直樹』に『下町ロケット』に、『陸王』。舞台が現代っぽくなった花登筺。
と、最初考えていたわけだが、それは私が池井戸潤ドラマをよく見てなかったからであった。『半沢直樹』をちらっと見ただけで言ってたことで、とんだ見立て違いだった。テキトーなことを言うものではない。
そもそも、池井戸潤ドラマが現代の花登筺だとしたら、『半沢直樹』をちらっと見てそれっきりなんてことはなく、(いろいろひっかかったりはしながらも)熱中するはずなのだ。ええ、私は池井戸潤ドラマにはぜんぜんハマれない。いろいろと「ムリ」。
『陸王』を見てのことで言うと、まずはいいと思ったことから先に書いておく。
こはぜ屋社長の家とか、工場とか、すっごくよくできてると思う。今あの家や工場を探してくるというロケハン能力はすごい。
阿川佐和子にも驚く。あの、物分かりの悪そうな、論理の通じなさそうな、女職人的風情が絶品。キャスティング能力高い。寺尾聰と市川右團次もいい。この3人はうまい。
主役の役所広司は、悪い役者じゃないと思うけどさいきん「何をやっても役所広司」で、驚くことが何もない。役所広司は「無名塾」出身で無名塾の師匠は仲代達矢で、仲代達矢も「いつ見てもあの顔、あの芝居」だったことを思い出し、師匠の薫陶は大きなものであったのだと感じ入った。
ここまではいいとして。
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