しっかり描かれた竹内涼真や山崎賢人たちのキャラクター
2017年12月27日
日曜劇場の『陸王』(TBS系)が最終回で20.5%の高視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。
この理由については、さまざまなところで議論されていると思うが、私個人としては、俳優のひとりひとりに、きちんと役割やドラマがあり、ひとりひとりの顔が見えるようなドラマ作りをしていることも視聴率好調の要因であると思う。
主演の役所広司はいわずもがな、お目付け役の番頭を演じた志賀廣太郎や阿川佐和子など、老舗足袋屋のこはぜ屋で働く人々、ダイワ食品陸上部の選手たちと音尾琢真演じるコーチ、こはぜ屋が取引する埼玉中央銀行の融資担当の坂本(風間俊介)や大橋(馬場徹)、ライバル会社・アトランティスの小原(ピエール瀧)や佐山(小籔千豊)は悪役に徹していたし、話題づくりもあってか後半から投入された松岡修造も経営者として役所広司に買収を迫る部分は鬼気迫るものがあり、どのひとりも欠けてはならないと思わせた。キャラクターが見ている者に浸透していれば、最後まで見たくなるのも納得である。
それ以上に、私は、このドラマが今を時めく若手俳優たち――竹内涼真や山崎賢人――を信頼して、ドラマ部分のベースとしてしっかりとキャラクターが描かれていたことも、視聴率に貢献していると感じた。
というのも、昨今のドラマは人気の俳優を使えば女性の視聴者が喜ぶだろうと制作側が期待して起用したものの、そこにリアリティが感じられず、視聴率的に失速することも少なくないように思える。俳優の人気至上主義の表層だけに期待することは、視聴者に対しても、その俳優に対しても失礼であるし、ドラマにとっても、まったく良いことはない。
しかし、この作品では、人気俳優を起用しているという意味では同じであるはずなのに、そうは見えなかった。
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