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昆夏美・小野田龍之介・JKimが奏でる(下)

ミュージカル『ナイン・テイルズ ~九尾狐の物語~』

真名子陽子 ライター、エディター


昆夏美・小野田龍之介・JKimが奏でる(上)

狐になるまでに3曲くらい歌うんです

拡大左から、JKim、昆夏美、小野田龍之介=伊藤華織撮影

――狐を演じるということについていかがでしょう?

昆:さきほど小野田さんがおっしゃっていた妖艶さや賢さといったイメージはありますけど、正直わからないことも多いです。この作品で私が演じる梅花が一番人間らしくて、感情移入しやすい役だと思うんです。純真で真っ白で清らかで、何も知らずに真っすぐに生きてきて、河柳と出会う……千年生きてきた中で今が一番幸せなのというセリフがあるんですね。狐を演じるということに捉われずに、セリフや楽曲を聞いて真っすぐに演じたいなと思っています。母にもなりますし、河柳と子供を残してひとり死んでいきます。梅花の壮絶な人生をドラマティックに、感情移入しやすいように演じたいです。お稽古の中でいろんな感情が出てくると思うので、その感情に素直に演じようと思います。

――小野田さん演じる河柳は人間です。

小野田:河柳は梅花を亡くして千年生きる狐にされてしまい、だんだん一人ぼっちになっていきます。自分だけ死ねずに、仲間や親、自分より後に生まれた人たちも死んでいく。歌稽古の時に話していたんですが、一人になっていく切なさもあるんだろうけど、人間の人生が哀れに思えてくるんじゃないかなと。どれだけ一生懸命もがいて生きても命は消えていくし、何のために人間は生きているんだろう。千年を生きていく中で、そんな人間の生き方を考えるんじゃないでしょうか。狐になって孤独と向き合いながら、だんだんと感情がなくなってきたところで梅花と出会い、また河柳に光がさすんでしょうね。人間に生まれ変わった梅花と出会ったことで、人間への思いがまた変わっていくんじゃないかな。狐への思いよりも自分が狐になったときに人間に対してどう思うか。狐だったときの紅梅と梅花の人間への思いなども参考にしながら、積み上げていけたらなと思います。人間から狐になる時が大変なんですよ、ずっと歌っているんです。狐になるまでに3曲くらい歌うんです。

――その3曲で千年を表現するんですか?

小野田:そうなんです。歌稽古のときも、今700歳くらいです、とか言われて(笑)。姿も変わっていくらしいんですけど。

昆:どう変わるんだろう!?

小野田:わかんないですよね。歌詞も人間に対する感情が入ったりして変わっていくんです。最後は梅花のことを思い出しながら、どのくらい経つのだろうって歌うんですよ。寂しい男です(笑)。

◆公演情報◆
穂の国とよはし芸術劇場PLATプロデュース【PLAT開館5年記念事業】
ミュージカル『ナイン・テイルズ ~ 九尾狐(クミホ)の物語~』
2018年1月20日(土)~1月21日(日)   愛知・穂の国とよはし芸術劇場
[スタッフ]
原作:金是佑
作曲・音楽監督:宮川彬良
構成・演出:田尾下哲
[出演]
昆夏美、小野田龍之介、JKim ほか
[演奏]
宮川彬良(ピアノ)、森由利子(ヴァイオリン)、磯部朱美子(チェロ)、高柳安佐子(コントラバス)、中村祐子(パーカッション)
公式ホームページ
公式ツイッター
〈昆夏美プロフィル〉
2011年、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』初演のジュリエット役でデビュー。その後も、『ハムレット』のオフィーリア、『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ、『ミス・サイゴン』のキムなど、大役を次々と射止める。また、アーティストとしても多数の CD をリリース。ディズニー映画『美女と野獣』プレミアム吹替版ではヒロイン・ベル役を演じた。
昆夏美オフィシャルブログ
〈小野田龍之介プロフィル〉
幼少よりダンスを学び、以後ミュージカルを中心に活躍。2011年に開催された「第1回シルヴェスター・リーヴァイ国際ミュージカル歌唱コンクール&コンサート」にてリーヴァイ特別賞を受賞。主な出演作は、『パレード』『ミス・サイゴ ン』『三銃士』『ウェストサイド物語』『ひめゆり』『TITANIC』『アリス・イン・ワンダーランド』など。
小野田龍之介オフィシャルツィッター
〈JKimプロフィル〉
劇団四季45周年記念オーディションに韓国人として初めて合格。『キャッツ』グリザベラ役、『ライオンキング』ラフィキ役、『ジーザス・クライスト=スーパースター』マリア役など主要な役を好演。2006年退団後、金志賢からJKimに改め多数のコンサート等にも出演。主な出演作は『ブラッド・ブラザーズ』、『蜘蛛女のキス』、『ピトレスク』、『カルメン』、『ビッグ・フィッシュ』、『SECRET SPLENDOUR』など。
JKim オフィシャルブログ
JKimオフィシャルホームページ

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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