大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター
演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
ロンドンで話題を集めた新作をブロードウェイの気鋭の演出家演出で日本初演
アカデミー賞受賞女優のニコール・キッドマンが主演し、ロンドンで高い評価を得た『PHOTOGRAPH 51』が日本で初上演される。
DNAの二重らせん構造という世紀の大発見をした女性科学者、ロザリンド・フランクリン。しかし、ノーベル賞を受賞したのは彼女ではなかった。研究に全てを捧げた彼女と、彼女を取り巻く5人の男性。科学のために愛や名声を犠牲にする生涯とは何を意味するのか…。
実話を元としたストーリーで、作者はアナ・ジーグラ。ブロードウェイ・デビュー作『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』で注目を集めた気鋭の演出家、サラナ・ラパインが演出する。
矢崎広は本作でロザリンド(板谷由夏)の助手でイギリス人科学者のレイ・ゴズリングを演じる。実在の人物を演じることやこの作品が日本で上演される意義など、作品に寄せる思いを聞いた。また、演技者として目覚ましい成長を見せる昨今を振り返り、初舞台時の思い出などを語ってもらった。
――『PHOTOGRAPH 51』の脚本は読まれましたか?
はい、実は先ほど演出家のサラナ(・ラパイン)さんを交えて本読み稽古をしたんです。サラナさんとは今日初めて会ったんですが、サラナさんのパワーも感じられてとても有意義な時間だったなと思いましたね。
――脚本を読んだ感想は?
1950年代に実際にあった話なので、当時の背景やイギリスとアメリカの関係などを感じながら読み進めていきました。科学の分野で女性が認めていられなかった時代、ロザリンドという女性が強く生きる様が描かれているんです。ちょっと変わり者でもあるんですが、自分から飛び込んで戦っていく姿がカッコイイなと思いましたね。物語が進み、「フォトグラフ51」というものが明らかになっていく中で、ロザリンドを取り巻く5人の男性の思惑が見えてくるのが面白いなと思って。最終的に5人の男性の考えはバラバラなものになっていくけれど、強く生きた女性がいたからこそ、5人も考え方が変わっていったんじゃないかなと思うんです。本読み稽古の前は女性の生き方が描かれているという点で、女性が見たら興味深い作品なのかなと思っていました。でも、本読み稽古をやったら、それだけじゃないなと思えたんです。何か成し遂げたいものがある人、仕事を通して何かを手に入れたいと思っている方が見たら、とてもいい作品なんじゃないかなと思いましたね。特に今回は東京芸術劇場シアターウエストというお客様が身近に見ていただける劇場でやるので、作品の魅力をさらに膨らませられるのではないかと思います。
――演出のサラナさんとお会いになっていかがでしたか?
「今日は“私がこの作品をこうやりたい”と伝えるのでなく、海外戯曲を日本で上演するにあたって、どうしたら役者が演じやすいかを考える日にしたい」と言ってくださって、まず本を読みながら僕たちとディスカッションしてくださったんです。僕らの資質をまず見て考えてくださるんだな、というのがとてもありがたい機会でした。
◆公演情報◆
PHOTOGRAPH 51(フォトグラフ 51)
2018年4月6日(金)~22日(日) 東京・東京芸術劇場シアターウエスト
2018年4月25日(水)~26日(木) 大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
※一般発売日:2018年1月27日(土)開始
※お問い合わせ(10 時~18 時):梅田芸術劇場 0570-077-039[東京] 06-6377-3888[大阪]
[スタッフ]
作:アナ・ジーグラ
演出:サラナ・ラパイン
翻訳:芦澤いずみ
[出演]
板谷由夏、神尾佑、矢崎広、宮崎秋人、橋本淳、中村亀鶴
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〈矢崎広プロフィル〉
2004年ミュージカル『空色勾玉(まがたま)』でデビュー。舞台を中心に、ドラマ、映画、アニメの声優など幅広く活躍。主な舞台出演作は、『人間風車』『モマの火星探検記』『ロミオ&ジュリエット』『スカーレット・ピンパーネル』『ジャージー・ボーイズ』など。
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